韓国で行われている日系企業参加プロジェクトでエンジニアを務める。現地での楽しみは、毎日の家族との団欒(だんらん)と、週末の韓国料理店巡り。
簡単に前言を翻す
こんにちは。FOXです。今回は、韓国の人々についてお話しします。
これはあくまでも私の主観ですが、韓国の人々の態度には、裏表がないように感じます。「本当は怒っているのにそれを表に出さない」といった細工はしないように思うのです。ただ、その分、「謙虚にふるまう」「悪いことをしたときに申し訳なさそうにする」といった、多くの日本人が当たり前と思うような行動も取らない人が多い気がします。
例えば、昨日は確かに「OK。それはこっちでやっておきます」と言っていたはずなのに、今日になって「それはやらないことにした」と言い出すなど、一度自分が言ったことを、簡単にひっくり返してしまう人が少なくありません。こうした人に出会うたびに戸惑います。
間違いを犯したときに、「間違ったものは間違ったんだから仕方ない」と開き直るような態度を取る人も多いですね。確かに、一度起こってしまったことは悔やんでも仕方ないので、まさにその通りなのですが、そうは言ってもなかなか納得がいかないものです。ただ、気にし過ぎるとこちらのフラストレーションがたまるだけなので、なるべく気にしないようにしています。
異なる文化や考え方を尊重するのがマネジメントの秘訣
日本には、「カウンターパート(仕事でかかわる相手)は、長期にわたって共にプロジェクトに携わる仲間なのだから、『Win-Win』(円満な関係でお互いに良い結果を得ること)の関係でいることが望ましい」と考える文化があるように思いますが、こちらでは、のちのちの関係を悪くするかどうかなどはあまり考えないようです。それよりも、もっと野心的な傾向があり、「今、この瞬間に自分が勝ち取る」ということを重視しているように思います。そのせいか、こちらが何かをやってあげても、あまり感謝されないようにも感じています。
ただ、私自身、こうしたバックグラウンドの違う人々と仕事をする以上、自分たちの考え方にも偏りがあるということを自覚した上で、注意深く仕事を進める必要があると感じています。イスラム教徒の多い国で仕事をするときは彼らの戒律を尊重するのと同じように、ここ韓国でも、相手の考え方を理解した上で適切に対応するべきだからです。そして、私たちがそのようにふるまえるからこそ、海外でのプロジェクトが多い当社においても良好なマネジメントができるのだと自負しています。
次回は、韓国での私の生活についてお話しします。
公園に置かれている健康遊具。健康志向の表れなのか、週末には、利用している人をよく見かける。
釜山(プサン)に旅行した時に訪れた龍頭山公園と釜山タワー。タワーは約120メートルの高さがある。
釜山の中央市場。新鮮な海産物がリーズナブルな価格で手に入ることで知られ、観光名所でもある。
自宅内の様子。古い集合住宅だが、112平方メートルの広さがあるだけに、空間にはゆとりがある。
構成/日笠由紀