教育業界の仕事を解説|企業、職種、やりがい、向いている人、将来性を解説【志望動機の例文あり】

教育業界を志望する場合、「どのような企業・職種があるの?」「仕事のやりがいや教職との違いなどが知りたい」と考える人は少なくないでしょう。
リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザー(※)が、教育業界の企業や職種、やりがい、向いている人などを解説します。教育業界の現状や将来性、教職と併願する場合の注意点、志望動機の書き方・例文なども紹介するので参考にしてみましょう。

※キャリアアドバイザーは求職者のサポートを行い、リクルーティングアドバイザーは求人を出す企業の採用サポートを行う。

教育業界のビジネスモデルとは

教育業界には、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校など、社会福祉法人や学校法人が運営する保育・教育機関以外にも、幅広い教育ビジネスを手がける企業があります。幼児期から高齢期まで、人の成長フェーズに応じて必要な学習を支える多様なビジネスがあり、多角的に事業を展開する企業も少なくありません。

具体的には、未就学児に向けた教育ビジネスや、就学期の子ども・学生を対象とした学習支援ビジネス、社会人を対象に語学や資格などをはじめとする学習プログラムを提供するスクールビジネス、企業の社員の教育研修を行う企業研修ビジネスなどがあります。

また、幅広い世代を対象とする通信教育や教材を出版するビジネスもあります。以降でそれぞれについて解説していきます。

幼児教育

未就学児向けの教育ビジネスでは、幼児体育指導や、スイミング、体操、サッカーなどを教えるスポーツ関連の教室やスポーツクラブ、英会話やダンス、絵画・造形、楽器演奏などを教える教室などが挙げられます。

また、小学校受験のための英才教育塾や、英語で保育を行うプリスクール、きめ細やかな幼児教育を提供する保育サービスなどもあります。

学生向けの教育

学生向けの教育ビジネスとしては、学習塾や予備校が挙げられます。

学習塾

小中高生に向けて、学校の授業の進行に合わせた補習指導や、受験・内申点対策のための学習指導を行います。クラス別に教える集団指導塾だけでなく、マンツーマンによる個別指導塾、自主学習をベースとする自習型指導塾などがあります。

予備校

高校生や高卒生、浪人生を対象に、大学受験の対策となる講義や学習支援を行います。音楽学校や美術大学など、芸術系分野の学校の受験支援に特化した予備校もあります。

このほかに、公務員試験や司法試験、医師国家試験など、職業に関連する資格試験対策の講義や学習支援を行う予備校もあり、こちらは学生だけでなく社会人も対象としています。

社会人向けのキャリアアップ教育

社会人向けのキャリアアップ教育では、企業の従業員教育を担う企業研修と、個人に向けたセミナーやビジネススクールが挙げられます。

企業研修

企業の従業員に向けたキャリア教育の研修を手がけるビジネスです。仕事やビジネスに役立つ多様なスキル・心構えを学ぶ研修や、新入社員・管理職などのステージに合わせた階層別研修、業務や職位において必要な法規制などを学ぶ研修、キャリア形成について学ぶキャリア研修など、企業の目的に合わせて多様な研修を提供します。

個人向けのセミナー、ビジネススクール

社会人を対象に、個人に向けたスキルアップ、自己啓発、経営・起業などに関連する講義やセミナーなどを展開するビジネスです。大学機関による付属ビジネススクールなどもあります。

幅広い世代向けの教育

資格取得学校・語学スクール

資格取得を支援する学校やスクールを運営するビジネスです。税理士、公認会計士、簿記、宅建、中小企業診断士、行政書士、社労士、公務員や、パソコンスキル・プログラミング関連、介護関連など、その内容は多岐にわたります。

また、英会話をはじめとする語スクール運営ビジネスもあります。

通信教育・eラーニング

紙の教材、インターネット、ラジオ、テレビなどを利用して、さまざまなジャンルの通信教育を提供するビジネスです。幼児・学生・社会人などを対象とする個人向けの教育だけでなく、企業を対象に従業員に向けたビジネススキル教育を提供するケースもあります。

また、パソコンやタブレット、スマートフォンを使ってインターネット上で学ぶeラーニングのサービスを提供する企業も多くあります。

教材・出版

教科書、問題集、学習ドリル、参考書などの教育教材の開発・出版を手がけるビジネスです。
小中学校や高校などの教育機関で利用される教材を専門とする企業もあれば、それらの企業と連携してデジタル教材などの開発を行う企業もあります。

また、実験機器などの教育用機材やICT(※)教育に必要な機器の開発・製造などの事業を展開している企業もあります。

※「Information and Communication Technology」(情報通信技術)の略。

そのほかの教育関連ビジネス

学校法人などに向けて経営支援を行うビジネスや、企業の人材育成や学習進捗管理などを支援するシステム、企業・塾・予備校などに向けてAI(人工知能)を活用した学習コンテンツやラーニングシステムを開発・提供し、間接的に教育を支えるビジネスなどもあります。

教育業界では、企業によって手がけるビジネスの傾向が違う

教育業界には、企業に向けたビジネスを展開するBtoB(Business to Business)と、一般消費者に向けたビジネスを展開するBtoC(Business to Consumer)の2種類があり、企業によってはどちらも手がけているケースもあります。

また、未就学児、学生、社会人など、学習の対象を絞っているケースもあれば、幅広い層に向けたビジネスを展開しているケースもあります。

さらに、教室運営や研修・講義の実施など、生徒や受講者と直接触れ合うビジネスを行うケースや、教材や教育システムなどの企画・制作・開発・提供のみに絞っているケースもあります。

同じ教育業界でも、企業によって手がけるビジネスの傾向が違うため、自分の目指す仕事内容と合致しているかどうか確認するためにも、企業研究をしっかりと行うことが大事です。

教育業界の主な職種と仕事内容

ここでは、教育業界の主な職種と仕事内容を紹介します。

講師

学習塾などの教育の現場では、学生に向けた授業・学習指導を行います。また、企業研修、資格学校、スクールの場合は、受講者に向けた講義を行います。いずれも教員免許などの資格は必要ありません。

授業・講義を行うだけでなく、その合間には準備を行い、指導方針について考えることも必要です。学習塾などの場合は、生徒の生活面の相談対応、個別の学習方針・進路の指導、保護者の対応などを行うケースもあります。

学習塾や企業研修を手がける企業では、正社員が講師を担当するケースが多くあります。一方、予備校・資格学校・語学スクールの講師は業務委託、個別指導塾はアルバイトなどの契約形態が中心です。正社員として入社しても、講師のポジションに就けないケースもあるので注意しましょう。

塾長・教室長・スクールマネージャー

学習塾や個別指導教室、各種スクールなどで、担当する教室・校舎の運営を行います。講師のマネジメントや指導、保護者への対応、校舎・教室の売り上げ管理、集客、採用、イベント企画の立案・実行など、幅広い業務を担います。規模が小さい企業では、講師として授業を行うケースも多くあります。

一方、規模の大きな企業では、講師として現場の業務を学ぶ経験を積んだ後に、塾長・教室長・スクールマネージャーとなるケースが少なくないでしょう。

「講師として、教育の現場に直接携わり続けたい」と考えている人は、入社後の仕事内容やキャリアステップを確認することも大事です。

事務

生徒や受講者、講師のために環境を整えることが主な仕事です。校舎・教室の清掃や、授業に必要な準備、各種手続きへの対応、書類作成、データ入力、問い合わせへの対応など、教室やスクールの運営に必要な業務を担当します。

教材の企画・開発

紙やデジタルの教材・模試・教材動画など、各種教育コンテンツの企画・制作を手がけます。企業研修を展開する企業や予備校などは、自社で教材を開発するケースが多くありますが、学習塾、資格学校などの場合は、教育関連の出版社が開発した教材を利用するケースもあります。

企画・開発には、一定の専門知識が必要なため、講師などで現場経験を積んでから任されるケースがほとんどでしょう。また、中途採用などで必要な経験・知識を身につけている人材を即戦力として採用するケースも少なくありません。

営業

学校や企業などに向けて、自社の教育サービスや教育教材などの導入を提案する営業活動を行う仕事です。ニーズに合わせ、適切な教育コンテンツ・サービスを提案し、受注に結び付けます。

また、自治体や官公庁が企画する教育事業に対して、自社のコンテンツやサービスの導入提案や入札対応を行ったり、受託事業の運営などを手がけたりするケースもあります。

規模の小さな学習塾などの場合は、塾長・教室長などが保護者に向けた営業活動を担うケースも少なくはないでしょう。

マーケティング

広報・宣伝物の企画・制作やキャンペーンの企画立案、ネットを使った情報発信など、集客に必要な業務を担当します。実施した企画や、発信した内容について、効果測定やデータ分析なども行います。

教育業界の仕事の魅力とやりがい

教育業界で働く魅力とやりがいを紹介します。

目の前の人の役に立てる喜びを感じられる

学習塾や予備校、企業研修、資格学校、スクールなどで人に物事を教える立場として働く場合は、相手と対峙(たいじ)し、個々の学習を向上させる指導をしたり、悩みの相談に応えたりする、というミッションがあります。その中においては良い方向に変化し、成長していく人の姿を目の当たりにすることもできます。

人から頼られそれに応えていくやりがいと、自分の力が直接役立つ手応えを実感できることは、教育業界の魅力の一つと言えるでしょう。

人生の重要な意思決定にかかわるやりがいがある

人生における重要な意思決定を支援するやりがいを感じることができます。

教育の仕事は、勉強やスキルの習得を支えるのみではありません。受験やキャリアアップ、転職に向けた資格取得などの意思決定をするシーンでは「どのような考え方を持って人生に向き合うと良いのか」を示唆したり、相談に乗ったりする機会が多くあるものです。

自分自身の経験もアウトプットしながら、人の将来に対する考え方や生き方などに直接的・間接的にかかわることができます。誰かの人生をバックアップできることに魅力を感じる人は少なくないでしょう。

社会的な影響力が大きい

講師の場合は、生徒や受講者への大きな影響力、発信力を持つポジションと言えます。「先生」として教える立場となるため、その責任は大きいですが、自分の指導で多くの人々の人生に影響を与えていけるやりがいを感じることができます。

また、学校教育に使われる教材・教育コンテンツなどを企画・開発する場合は、社会全体に貢献する喜びを味わえます。eラーニングや通信教育などに携わる場合も、自分の仕事がより多くの人に役立っていることを実感できるでしょう。

教育業界の年収・業界ランキングの調べ方

教育業界の企業の事業収益や年収などは、『会社四季報』(東洋経済新報社刊行)や各社のホームページなどを調べて確認してみましょう。業界ランキングは、業界地図として、各業界の動向を詳細に解説している本に掲載されています。

また、昨今は教育業界を専門に取り上げている動画コンテンツも発信されています。学習塾などの年収傾向やランキングなどを集計・発表していたり、教育業界の企業の経営者などへのインタビューを公開していたりするものもあるので、情報収集に役立つでしょう。

教育業界に向いている人とは?

教育業界に向いている人の特徴を紹介します。

人の成長を支援することに喜びを感じる

教育ビジネスは、人の成長を支援する仕事のため、そこに熱意を持って取り組めることが大前提です。例えば、部活動やアルバイト、ゼミ、ボランティアなどの活動で、誰かを支え、成長へと導くことに喜びを感じた経験がある人には向いていると言えるでしょう。

ビジネスとして収益の重要性を理解できる

民間企業が展開する教育事業は、ボランティアではなく、ビジネスであり、収益を上げなくては成立させることができません。教育に対する理想論のみでなく、収益を追い求めることの必要性も理解した上で、人の成長支援とビジネスを両立させるバランス感覚を持てることが大事です。

多くの人の前に立つことが苦手ではない

教育ビジネスにおいては、社員が講義や研修などを行うケースが多くあり、特に、社会人向けの企業研修では、多くのビジネスパーソンの前に立つことになります。

例えば、社会人向けの研修などを展開する企業で講師を務めるケースもあれば、教材開発や模試の運営などを手がける企業で教職者に向けたレクチャーを行うケースもあります。人前に立って注目を浴びることが苦手ではない人に向いていると言えるでしょう。

相手を理解しようとする姿勢がある

教育業界では、相手を理解する力も求められます。特に、学習塾では個々の生徒に寄り添った指導を行うことが必要です。

また、社会人向けの研修や教材開発でもターゲットとなる人々の心理を理解することが重要になります。人に興味を持ち、相手を理解しようとする姿勢がある人には向いていると言えるでしょう。

教育業界と教職には、どんな違いがある?

教職と併願を目指す場合、教育業界とどのような違いがあるのかを知りたいという人もいるでしょう。ここでは、その違いについて解説していきます。

教育業界と教職の違いとは?

教職は、学校教育を担います。生徒に向けた教育・指導だけでなく、保護者への対応、部活動の監督・指導なども行いますが、教職者にはビジネスとして利益を意識することは求められないでしょう。

先にも述べた通り、民間企業が展開する教育ビジネスの場合は、教育とビジネスを両立させることが求められます。教育を追求することのみに集中したい場合は、教職やNPO 法人の方が向いていると言えるでしょう。

また、教育ビジネスは、それぞれの企業単位で展開しているため、現場レベルで意思決定ができるケースも多いでしょう。一方、教職として携わるのは学校教育であり、国や文部科学省、教育委員会などが決定した方針に沿って進めることが必要です。「自分の力で教育の在り方そのものを変えたい」などの思いがある場合は、教育ビジネスの方が現場で実践しやすいと言えるでしょう。

教職と併願する場合に意識したいことは?

教職と教育業界の企業を併願する場合、「学校教育」と「教育ビジネス」の違いをきちんと理解しておくことが大事です。

教育業界が手がけているのはあくまでビジネスなので、理想だけでなく、収益を追い求めることも重要です。そうした点に自分なりにどう向き合っていくのかを整理しておきましょう。

また、併願していることに対し、「就活の軸に矛盾があるのではないか?」と思われないためにも、学校教育と志望企業のどちらにも共通する軸についてきちんと考えておくことも大事です。

自分の思いに対し、「その企業・学校で何を実現できると考えたのか」を掘り下げ、自分なりに「仕事を通じて、何を実現したいのか」という就活の軸を明確にしておきましょう。

教職を経てから教育業界でキャリアを築くことも可能

教職を経てから、教育業界の企業に転職するケースはよくあります。また、企業で働いた後に、教職となるケースもあるので、どちらのキャリアも行き来することは可能と言えます。

ただし、学校教育の現場は、民間の企業とは意思決定のプロセスが違うという面もあります。企業で働いた経験を生かそうとした場合、そうした点にギャップを感じる可能性もあるでしょう。

教育業界に必要なスキルと資格とは?

教育業界の企業を志望する場合、必須となる資格はありません。スキルについても、新卒採用の場合は「入社後に必要な力を身につけていけばOK」としている企業がほとんどでしょう。

教育業界を志望する学生には、塾講師や家庭教師などのアルバイトを経験していたり、教職免許を取得していたりするケースが多く見られます。しかし、そうした経験を不問とする企業も多く、資格やスキルよりも教育に対する思いや熱意を重視する傾向があるでしょう。

板書しながらレクチャーする女性講師あるいは教師

教育業界の現状

教育業界の現状について解説します。

少子化の影響はあるものの、教育市場の需要は変わらない見込み

矢野経済研究所が実施した教育産業市場に関する調査結果(2023年)によれば、2022年度の教育産業全体の市場規模(主要15分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比0.3パーセント減の2兆8499億7000万円となっています(※)。

少子化の進行によって、学生・未就学児向けの教育関連サービスは、顧客の絶対数が減っていく状況にあり、教育市場は先細りとなることが予測されています。しかし、その一方で、大学進学が当たり前となっており、1人当たりにかける教育費も年々、微増している傾向にあります。

大学の統廃合など、教育政策の大転換が起きない限りは、今後も需要があることに変わりはないでしょう。

※ 出典:「教育産業市場に関する調査(2023年)」(2023年10月6日発表)株式会社矢野経済研究所

コロナ禍の影響でリモート型サービスやICT教育が普及

コロナ禍の中、休塾・休校措置や生徒募集活動の自粛などの制限を受け、市場が縮小していました。先に挙げた矢野経済研究所の調査によれば、2021年度には、オンライン授業との併用やコロナ禍における新たなサービス需要の拡大などによって市場は回復しました(※)。

学習塾や予備校だけでなく、社会人に向けた語学スクールやカルチャーセンターなどでもオンライン授業は取り入れられ、動画教材などを自社開発する企業なども増加しています。

また、コロナ禍以前から、国を挙げて教育へのIT活用が推進されていましたが、コロナ禍の影響によってその動きが大きく加速されました。政府が掲げる「GIGAスクール構想」では、1人1台の端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、教育現場におけるICT環境の実現を目指す方針となっています。

公立の小中学校では、文部科学省が取りまとめた『教育の情報化ビジョン』(2011年)に基づき、タブレット・ノート型端末の導入が進められ、文部科学省による『端末利活用状況等の実態調査』(2021年7月末時点)では、全国自治体等のうち、96.2パーセントが端末を整備済みと回答しています。全国の公立小学校などの96.2パーセント、中学校等の96.5パーセントが、全学年、または一部の学年で端末の利用を開始している状況があります。

※ 出典:「教育産業市場に関する調査(2023年)」(2023年10月6日発表)株式会社矢野経済研究所

学習塾や予備校の合併・提携が活発化

近年、学習塾・予備校市場では、少子化という大きな課題の下、他社との合併や提携を目指す動きが活発化していました。大手企業と中小規模の企業が合併し、より大きな企業規模となることには、「企業体力を高めていく」というポジティブな意図があります。

また、「より早期から生徒を取り込む」という狙いもあり、例えば、大学受験向けの予備校が、小中学生向けの補習塾を買収するなどで、長く自社の教育サービスを利用し続けてもらうことを目指すケースがあります。

教育業界を志望する場合、「全国的に事業を展開する大手企業より、地域密着で事業を展開する中小企業を選択した方が、転居を伴う転勤がないはず」と考える人もいますが、合併したことでサービス提供のエリアが広がっている可能性もあります。

こうした面も含めて、きちんと企業研究を行い、自分の目指すキャリアにマッチするかどうかを判断することも大事でしょう。

教育業界の将来性

教育業界はコロナ禍の影響によって大きく変化しつつありますが、矢野経済研究所の調査によれば、2022年度には、コロナ禍の行動制限の撤廃などに伴う需要の変化を受け、通信教育市場は前年度比10.0パーセント減となり、全体市場としては再び縮小傾向となっています(※1)。

2022年度において前年度の市場規模を上回った分野は、「学習塾・予備校市場」「資格取得学校市場」「幼児体育指導市場」「企業向け研修サービス市場」「eラーニング市場」の5分野にとどまっています(※2)。

しかし、AI技術を活用して、個々の学力や学習進度、理解度などに合わせ、より効果的・効率的な学習指導サービスを提供する動きが活発化するなど、教育におけるDX(※3)は進んでいます。今後は、デジタル教材の活用などに向けて、業界内にとどまらず、IT業界などの他業界と連携しながら、より可能性を広げていくことも予想されます。

また、少子化が進む中でも、社会人に向けた教育のニーズは高まることも予想されています。近年、社会人となった後にも再度学び直し、ビジネスに必要な能力を磨き続けていくことが重要視されています。このように生涯学習を続けていくことを「リカレント教育」と呼び、国も推進・支援しています。一方、企業においては、デジタル技術の発展に伴い、従業員に対して新しいスキルや知識の習得などをサポートする「リスキリング」に注力し、個々の成長と組織の発展を目指すケースも増えています。

企業研修の需要は高まっており、大学や公的機関などを含め、幅広い世代の社会人に向けた教育サービスの提供を進めていく流れもあります。今後は、個々のスキルを高めていくことが求められるため、子どもだけでなく、大人に向けた新たな教育ニーズも高まっていくでしょう。

※1, ※2 出典:「教育産業市場に関する調査を実施(2023年)」(2023年10月6日発表)株式会社矢野経済研究所

※3「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、「IT・デジタル技術の活用によって企業のビジネスモデルを変革し、自社の競争力を高めていくこと」を指す。

教育業界の最新ニュース

教育業界の最新トピックについて解説します。

新学習指導要領の改訂

文部科学省による「新学習指導要領」(※)が改訂されたことにより、2020年度から、小学校にプログラミング教育が導入され、今後、中学校、高等学校でも必修化されることが決定しています。

「プログラミング的思考」を育み、論理的思考を身につけられる教育を目指すという方針の下、プログラミング教育への関心は高まっています。学習塾でプログラミングコースを導入するケースが増え、子ども向けプログラミング教室も急増しており、今後、さらなる市場拡大に向かうことが予想されます。

また、2020年度には公立小学校において中学年(3・4年生)を対象に「外国語活動」が必修化され、高学年(5・6年生)を対象に正式な教科として「外国語(英語)科」の授業が始まっています。今後は、子ども向け英語教育市場も拡大していくことが見込めるでしょう。

※参考サイト:学習指導要領(文部科学省)

大学入学共通テスト

2021年1月より、日本の大学の共通入学試験に「大学入学共通テスト」が導入されました。それまで実施されていた大学入試センター試験と比べて問題内容が変化し、「思考力」「判断力」を発揮して解くことが求められるようになったことで、学習塾や予備校も新たなカリキュラムを提供しています。

また、文部科学省は、生徒が能動的に考え、学習する教育法「アクティブ・ラーニング」を推進する方向となっているため、今後は、より能動的・主体的に学習する流れとなっていくことが予想されます。

STEM教育・STEAM教育

STEM(ステム)教育とは、「科学」(Science)、「技術」(Technology)、「工学」(Engineering)、「数学」(Mathematics)の分野を統合的に学び、将来、科学技術の発展を支える理系人材を育てることを目的とした教育プランのことです。

近年は、芸術やリベラルアーツ(Arts)の要素も加えた「STEAM(スティーム)」へと発展しており、理数教育に創造性教育を加えた教育理念として注目されています。文部科学省でも、STEAM教育などによって、各教科を横断的に学習することを推進していく方針を発表しています。

EdTech(教育×テクノロジー)

EdTech (エドテック)とは、AIやビッグデータなどのテクノロジーを用いて、教育のデジタル化を推進し、教育にイノベーションを起こすことを意味します。

例えば、生徒に向けた学習支援システムや教師が利用する授業支援システムや校務システムなどが登場しており、IT系のベンチャー企業などが教育ビジネスに参入するケースも増えています。

また、文部科学省や総務省による実証事業として、学校教育の現場にEdTechの仕組みを導入するための実証実験なども行われています。

リカレント教育・リスキリング

社会人になっても生涯学び続けるための「リカレント教育」に加え、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶ「リスキリング」にも注目が集まっています。

日本においては、IT活用やDX推進のために2021年に経済産業省が「デジタル時代の人材政策に関する検討会」を開始し、リスキリングによる人材育成の取り組みなどの検討を進めています。

教育業界の志望動機の書き方とポイント

教育業界の志望動機の構成・書き方・ポイントを紹介します。

志望動機の構成と書き方

志望動機の構成は以下を参考にしましょう。

  1. 結論(志望した理由)
  2. 背景(根拠となるエピソード)
  3. 意気込み(入社後の活躍・貢献)

書き出しとなる結論では、教育業界や応募企業を志望した理由を端的に伝えましょう。背景では、根拠となるエピソードを具体的に伝え、説得力を持たせることが大事です。最後に、入社後にどのような活躍・貢献がしたいか、意気込みを伝えると良いでしょう。

教育業界の志望動機で意識したいポイント

教育は誰もが受けるものであるため、自分の原体験にひも付けた志望動機で、説得力を高めることがポイントです。例えば、塾講師のアルバイトや部活動での後輩の育成・指導など、人の成長にかかわって喜びを感じた経験などを伝えると良いでしょう。

また、「なぜ教職ではなく、教育ビジネスをやりたいのか」という点にも言及することが大事です。「担任の生徒だけでなく、学年や学校をまたいで幅広い層の生徒を支援したい」「ビジネスパーソン全般を対象とする社会人教育の影響範囲の大きさに魅力を感じた」など、社会に向けた視点を持つと良いでしょう。

さらに、ビジネスとしての側面について理解していることも、選考における大事なポイントとなりますが、こちらについては志望動機に盛り込む必要はありません。自分の中で収益性の大切さをしっかり認識しておき、面接で質問された際に回答できる土台をつくっておくと良いでしょう。

志望動機で悩んだらリクナビ就職エージェントに相談してみる方法も

「志望動機が思いつかない」「どう書けばいいのかわからない」という人は、リクナビ就職エージェントに相談してみる方法もあります。

教育業界は、各社のビジネスの違いや強みがわかりにくい業界と言えます。特に、子ども向けの学習塾などは、ユーザーとしてサービスを利用することができず、どのような違いがあるのかを比較しにくいでしょう。

リクナビ就職エージェントでは、就活のプロであるキャリアアドバイザーが就活の支援をします。個々の企業が展開するビジネスの内容や強みなどを聞くこともできるため、志望動機の作成に役立ちます。

また、自己分析や応募書類の作成などのサポートを受けることもできます。客観的な視点からアドバイスを受けて志望動機の説得力を高めれば、自分の思いや熱意がより伝わりやすくなるでしょう。

教育業界の志望動機の例文

「学習塾の講師・教室長」「社会人向けの企業研修の企画・開発」を目指す志望動機の例文を紹介します。

学習塾の講師・教室長を志望する例文

子どもたちの思考力を育み、生きていく力を身につけられるような教育に携わりたいと考え、貴社(※面接など、口頭の場合は「御社」)を志望いたしました。

個別指導塾でアルバイトする中、教科ごとの勉強を教えるだけでは成績が伸びない子どもが多いと感じ、学ぶことの意味や楽しさ、学習を進める際の考え方なども教えるようになりました。学びの根本から指導して個々の思考力を伸ばすように努めたことで、子どもたちが自ら考えるようになり、成績を急速に伸ばして成長していく姿に感動しました。貴社は、論理的思考力やチームで協働する力を育む教育にも注力されているので、子どもたちが社会に出てから役立つ力を身につけることができると感じております。

貴社に入社後は、一人ひとりの思考力を育む教育指導を目指し、多くの子どもたちがより成長していけるように支えていきたいと思います。

社会人向けの企業研修の企画・開発を志望する例文

貴社を志望したのは、社会人のマインドを変える教育に携わり、多くの人の人生をより良くする仕事がしたいと考えたためです。

私は環境関連のボランティア団体に所属し、一般の方に向けて環境問題について考えるワークの企画・運営なども手がけてきました。最初は意欲が低かった参加者が、この活動を通じて環境に対して関心を持ったり、積極的に議論し合ったりするなど、人が変化していく姿を目の当たりにした経験から、人のマインドを変え、成長を支える仕事がしたいと思うようになりました。また、大学で社会人の意識を学ぶ講座を受けた際、どのような能力を開発していく必要があるのかを学ぶこと自体が非常に楽しいと感じました。貴社はリスキリングやリカレントなどの領域の研修なども提供しているため、幅広い側面から人の人生にかかわることができると考えています。

入社後は、ワークを企画・運営した経験を生かしてより良いコンテンツを開発し、多くの参加者のマインドを変えていくお手伝いをしていきたいです。

教育業界を志望する学生によくあるQ&A

教育業界を志望する学生が疑問を抱きがちなことについてQ&A方式で解説します。

志望動機と志望理由の違いとは?

一般的に、民間の企業の採用では「志望動機」、教職の採用では「志望理由」という言葉を使います。どちらも同じ意味なので「なぜその仕事(企業・学校)を志望するのか」を伝えましょう。

「就活の軸」を聞かれた場合、どう答えればいい?

教育業界を目指す人には、「人の成長支援ができる仕事」を就活の軸にするケースがよく見られますが、それのみを伝えても「一般的な理想論を語っているのみで、本気度が伝わらない」と思われてしまう可能性があります。自分の原体験や実体験にひも付けて「なぜそう考えたのか」を説明し、就活の軸の背景・根拠まで明確に伝えることがポイントです。

志望動機以外で、面接でよく聞かれる質問は?

教育業界の面接でよく聞かれる質問には、志望動機以外にも以下のようなものが挙げられます。

  • あなたが考える教育とは
  • どんな授業をしたいか
  • 生徒指導で大切なこと

いずれも「教育観」について問う質問です。「どのような教育・授業・指導を目指しているのか(大切にしたいと思うのか)」「なぜそう考えたのか」「具体的にどのようなことをしていきたいのか」を伝えることがポイントです。


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プロフィール
佐藤光紘(さとう・みつひろ)
キャリアアドバイザー。2017年に株式会社リクルート(旧リクルートキャリア)に新卒入社。以来、一貫して新卒の学生向けのアドバイザー業務に従事。関西のキャリアアドバイザー組織の立ち上げにも携わり、現在は全国の学生の就活サポートに力を注いでいる。

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プロフィール
西堀寛司(にしぼり・かんじ)
リクルーティングアドバイザー。2018年に株式会社リクルート(旧リクルートキャリア )へ中途入社。前職では個別指導塾の講師兼教室マネージャーとして中高生の進路指導や講師教育に従事。現在は企業の採用支援とともに、就労経験のない学生の強みを定義し言語化するキーワード開発プロジェクトを主動。

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