就活の軸(企業選びの軸)100例を一覧化して紹介。「就活の軸の見つけ方」や「面接で答えるときの注意点・回答例」も詳しく解説します。「就活の軸が見つけられないときの対処法」や「軸は複数あってもいいのか」などよくある疑問にも、就活のプロであるリクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーがお答えします。
目次
就活の軸とは
「就活の軸」とは、企業と自分との接続ポイントであり、就活を進めていく上での判断基準になるものです。就活をしていると「企業選びの軸」という言葉もよく耳にすると思いますが、就活の軸と企業選びの軸は基本的には同じものだと考えて問題ありません。
この2つに、あえて違いをつけるのであれば、就活の軸は自分の価値観と照らし合わせてどんな働き方や仕事をしたいかを見つけていくもので、企業選びの軸は見つけた価値観を基にどんな環境(企業)で働きたいかをさらに考えたものと言えるでしょう。
就活の軸や企業選びの軸を決めるメリット
就活の軸は、就活をしていく上での羅針盤のようなものです。
これがあることで、自分にとっての企業評価をしやすくなり、「どういう方向性の企業の選考を受けていくべきなのか」「目の前の企業と自分はどういうところが合っているのか」「企業と自分の価値観は一緒か」などが見極めやすくなるでしょう。
例えば、スポーツ選手の移籍を例に考えてみましょう。有名な強豪チームから高年俸でのオファーが来れば、誰もが魅力的に思うでしょう。しかしそのチームがオフェンス至上主義の戦略で、オファーを受けた選手はディフェンスに自信があり、自分の持ち味を生かして第一線で活躍できるチームを探していたとしたらどうでしょうか。高い年俸も、知名度も、チーム成績も魅力的ではあっても、移籍後にスタメンとして活躍することは難しいと考え、ほかのチームを探すかもしれません。
就活の軸を持つことは、この例のように年収や、知名度、業績といったわかりやすい指標以外にも、「自分に合った企業なのかどうか」を見極めるための自分なりの基準を持つということなのです。
例・100選!就活の軸(企業選びの軸)一覧
就活初期にいきなり「軸を決めてください」と言われても、すぐに設定するのは難しいと思います。まずはいくつか例を挙げてみますので、どんなものがしっくりくるのか参考にしてみるのも良いでしょう。
やりがいに関する軸の例
- 社長など経営者の近くで働きたい
- 理念に共感できる企業で働きたい
- 顧客に直接感謝される仕事がしたい
- 消費者に広く認知されている仕事がしたい
- 社会に広く貢献できる仕事がしたい
- 地域に貢献できる仕事がしたい
- 地球環境の解決に貢献できる仕事がしたい
- 使命感を持って働きたい
- 困っている人を助ける仕事がしたい
- 日本のためになる仕事がしたい
- 世界をより良くする仕事がしたい
- 新しい価値を生み出したい
- 世の中にインパクトを与えたい
- 人々の生活を便利にする仕事がしたい
- 人の悩みを解決する仕事がしたい
- 人の成長にかかわる仕事がしたい
- 人の安全や権利を守る仕事がしたい
- 人の健康や命を守る仕事がしたい
- 自分が生み出したものを世の中に届けたい
- 豊かな社会を実現したい
- 規模の大きな仕事に携わりたい
- 日常になくてはならない仕事がしたい
- 人々の生活の質を向上させたい
- 人を応援する仕事がしたい
- さまざまな業界とかかわりながら働きたい
- 人を楽しませ、ワクワクさせる仕事がしたい
- 流行を意識して働きたい
社風や仲間に関する軸の例
- 社員同士が仲の良い企業で働きたい
- 競争心や向上心が高い仲間と働きたい
- 多様な背景と価値観を持つ仲間と働きたい
- 自分の価値観と合う人が多い企業で働きたい
- 年功序列の企業で働きたい
- 成果主義の企業で働きたい
- プロセスを重視する企業で働きたい
やりたいこと、好きなことに関する軸の例
- 自分の長所や強みを生かして働きたい
- 自分の好きなことを仕事にしたい
- 自分の専門分野を生かして働きたい
- 自分の経験を生かして働きたい
- やってみたいことに挑戦できる環境で働きたい
やりたくないこと、嫌いなことに関する軸の例
- 自分の苦手なことをしないで済む仕事がしたい
- 自分の短所をカバーできる仕事がしたい
無理なくやれることに関する軸の例
- 朝型の生活を生かしたい
- 常に知識習得や勉強をしながら働きたい
仕事の進め方に関する軸の例
- なるべく自分1人で仕事を進めたい
- 社内のチームで仕事を進めたい
- 社内外で一体となって仕事を進めたい
- 時間をかけてコツコツと進めたい
- 短時間で成果を出したい
- 黙々と働きたい
- 試行錯誤しながら働きたい
- あらかじめ決められたプロセスで働きたい
- 自分でプロセスややり方を考えたい
- 特定の顧客と深く長く付き合いたい
- 浅くてもいいので、幅広い顧客と付き合いたい
職種にかかわる軸の例
- モノやサービスを売る仕事がしたい
- 人をサポートする仕事がしたい
- モノやサービスを作る仕事がしたい
- モノやサービスを広める仕事がしたい
- 技術を身につけたい
- 研究をする仕事がしたい
- 接客をする仕事がしたい
- 自分のアイデアを形にする仕事がしたい
グローバルさに関する軸の例
- 海外で働きたい
- 海外展開している企業で働きたい
- 英語などの外国語を使う機会がある企業で働きたい
- 外資系企業で働きたい
キャリアアップやスキルアップに関する軸の例
- 異動に関して自己申告の制度がある企業で働きたい
- 新規事業を立ち上げたい
- 将来の独立支援をしてくれる企業で働きたい
- 転職市場で有利になるような経験を積める企業で働きたい
- 資格取得をバックアップしてくれる企業で働きたい
- 大学院進学やMBA留学できる企業で働きたい
- いろいろな職種を経験したい
- 研究開発に携わりたい
- 研修を丁寧にしてくれる企業で働きたい
- 自己啓発やスキルアップの支援がある企業で働きたい
- メンター制度がある企業で働きたい
- 社内検定があるなど努力次第で成長できる企業で働きたい
社員の組織構成に関する軸の例
- 20代などの若手社員比率が高い企業で働きたい
- 20代などの若手社員が管理職になりやすい企業で働きたい
- 30代など若くして役員になれる企業で働きたい
社員の定着率や男女比に関する軸の例
- 新卒入社社員の定着率が高い企業で働きたい
- 男女比率が同じ企業で働きたい
- 男性比率の高い企業で働きたい
- 女性比率の高い企業で働きたい
休暇や残業に関する軸の例
- 完全土日祝休みで働きたい
- 残業をせずに働きたい
- 有給や休暇をしっかり取れる企業で働きたい
- 育児や介護などライフステージに合わせて働ける企業がいい
給与や福利厚生に関する軸の例
- 住宅補助・社宅・寮などがある企業で働きたい
- 家族手当のある企業で働きたい
- 年俸制や月給プラス歩合制など実力主義の給与体制の企業で働きたい
- ストックオプションや社員持ち株制度がある企業で働きたい
勤務形態に関する軸の例
- 転居を伴う転勤がない企業で働きたい
- フレックスタイムで働きたい
- リモートワークや在宅勤務で働きたい
- 副業を認めてくれる企業で働きたい
働くエリアに関する軸の例
- 都会で働きたい
- 地元で働きたい
- 出身地以外の地方で働きたい
就活の軸(企業選びの軸)の見つけ方
就活の基本は自己分析だとよく言われます。就活の軸や企業選びの軸を見つける際にも、過去の自分を振り返ってみて、自分がどんなことを大切にしてきたのか、これからどんなことを大切にしながら働きたいのかを考えてみましょう。
また、自分や物事のプラスの面だけに注目するのではなく、何にストレスを感じやすいのか、何が苦手なのかといったマイナス面にも注目することが大切です。苦手なことを把握して「〇〇しなくても済む」という軸を設定するのも悪いことではありません。
就活の軸(企業選びの軸)を見つけられないときの2つの対処法
対処法1. 過去の選択に注目する
「過去を振り返っても、まったく軸が見つからないよ」と思う学生も中にはいるかもしれません。そういうときには、過去にしてきた自分の選択に注目をしてみましょう。
進学する学校にしろ、アルバイトにしろ、何かしら自分で選んだことがあるはずです。その時には、何を基準に選んだのか、どんな思いで選んだのかを思い出してみてください。
例えば、部活やサークルを選んだときのことを思い出してみるのも一つの手です。「自分が未経験でもいいからチームとして強いところがいい」「顧問の先生が丁寧に教えてくれそうなところがいい」「チームメンバーが仲良く雰囲気が良い」「自分の持ち味やプレースタイルを生かせるところがいい」など何かしらの考えがあったのではないでしょうか。
対処法2. 第三者に話してみて、新しい視点を取り入れる
保護者、友人、学校のキャリアセンター職員など第三者に話してみるのも一つの手です。「軸が見つからない」と思っている学生の中には、「こんなことは軸にはならないだろう」と無意識のうちに制限をかけてしまっているケースも少なくありません。しかし、就活の軸というのは自分にとっての大切な価値観なので、どんなことでもいいのです。前述の通り「〇〇はしたくない」という軸でも構いません。
また、自分のボキャブラリーの中だけで考えていると、なんとなく頭の中にはあるけれど言語化できないことや、しっくりくる言葉が見つからないということも起こります。そういったときに、第三者と話しながら思考を整理するのはとても有効だと思います。
近しい人に相談するのが気恥ずかしい場合には、就職エージェントのキャリアアドバイザーに相談するのも一つの手です。例えば、リクナビ就職エージェントでは、自己分析から、就活の軸の設定、その後の企業選びや内定を得るためのサポートまでマンツーマンで行いますし、どんなことを話したとしても友人や知人に話が漏れることはありません。
企業が面接で「就活の軸・企業選びの軸」を質問する理由
企業が面接で「就活の軸はなんですか?」「企業選びの軸を教えてください」と質問するのは、学生の価値観を知り、同じ方向性を向いて一緒に働ける人なのかどうかを知りたいと考えているからです。
学生が、「自分に合う企業で働きたい」と考えるのと同様に、企業も「自社に合う人を採用したい」「自社で成長しその力を発揮し、できれば長く働いてほしい」と考えているのです。企業が採用活動をするには、多大な費用と長期にわたる社員のリソースが必要となります。コストをかけるからには、できるだけ自社にマッチした人を見極めたいと考えるのは自然なことでしょう。
「就活の軸・企業選びの軸」を面接で答えるときの2つのポイント
ポイント1. 軸は企業の視点や価値観に合わせすぎない
企業は、軸を質問することによって、学生の価値観を知ろうとしていると説明しました。しかし、だからといって企業の価値観に迎合した回答をしては軸を設定した意味がありません。
これはスポーツに例えると、オフェンス重視のチーム作りをしている監督に、本当はディフェンスが得意な選手が「オフェンスが得意なので、攻撃力重視のチームを探しています」と自分を偽ってアピールしているようなものです。もしも採用されたとしても、この選手が持ち味を生かしてチームに貢献することや、スタメンとして活躍の機会を得て年俸を上げていくことは難しいでしょう。
就活でも、本当の自分を見せることなく入社してしまっては、ミスマッチが生じます。思うように活躍できなくなる可能性もあるため避けましょう。また、面接担当者は、この質問のほかにも多くの質問をすることで就活生の価値観を多角的に知ろうとしています。この質問だけ企業の価値観に合わせた回答をした場合、そのほかの回答との一貫性が失われてしまうでしょう。
ポイント2. 過去の経験やエピソードなどを交えて、その軸を選んだ理由を伝える
多くの学生は、就活の軸や企業選びの軸を、抽象度の高いきれいな言葉にまとめているでしょう。抽象度の高い言葉は、相手によってイメージすることが異なるため、なぜそう考えたのかを具体的に伝えましょう。
理由を伝える際は、「〇〇したいから」という不確定な未来に対する希望だけを話すと、よりフワフワとした印象になってしまうため、どんな経験に基づきその価値観を得たのかという過去の話をまず話すのがオススメです。
答え方のフォーマット例
これまでに〇〇した時に、△△だと考え、(今後も)〇〇していきたいと考えています。
面接で 「就活の軸・企業選びの軸」を質問されたときの回答例
前述の答え方のフォーマットに沿った具体的な例を紹介します。実際の面接では、自分なりのエピソードを交えて答えるようにしましょう。
回答例1. 「成果が正当に評価され、報酬として自分に返ってくる企業で働きたい」
私の就活の軸は、成果が正当に評価され、報酬として自分に返ってくる企業で働くことです。
ファミリーレストランのアルバイトで、効率のいい配膳方法を考え、リピーターになっていただけるような接客を実践するなどの行動が高く評価され、短期間で昇給した経験があります。自身の創意工夫が正当に評価され、報酬として返ってくる環境は、モチベーションを高く持って頑張り続けられると考えています。成果にこだわって努力する力を生かし、より早く責任ある仕事を任されるよう頑張りたいと思います。
回答例2.「グローバル企業で働きたい」
私の就活の軸は、グローバルに活躍できる環境で働くことです。
大学1年の時にアメリカに1カ月間短期留学して、言葉や文化の違う海外の人とかかわることで知見が広がり成長を実感できました。中でも印象的だったのは、日用品や食品の包装材などの違いです。日本で日常的に使用している製品の使いやすさや機能の高さをあらためて感じました。入社後は、海外展開も多数されている御社の製品の魅力について、よりグローバルに発信していきたいと考えています。
回答例3. 「事務としてサポートする仕事に就きたい」
私の就活の軸は、人をサポートする仕事に就くことです。
自分が前に出るよりも、人をサポートすることが得意でやりがいを感じます。大学ではサッカー部のマネージャーを務めていますが、選手が困っていること、やってほしいと思うことを想像し、先回りして手がけることを徹底してきました。この経験から、相手が動きやすいように考え、支援する営業事務の仕事に魅力を感じています。
「就活の軸」についてよくあるQ&A
Q.就活の軸は1つだけ?複数あってもいい?
A.就活の軸は1つである必要はありません。複数あって大丈夫です。
ただし数が多すぎても企業や仕事を絞りきれないのも事実。3つくらいを目安にすると良いでしょう。
Q.就活の軸が複数ある場合は優先順位をつけた方がいい?
A.優先順位をつけるのは良いですが、それに固執しすぎないようにしましょう。
就活の軸に優先順位をつけておくと、複数の企業から内定を得たときに最終的にどこに入社するのかを決めるのに役立つでしょう。一方で、第1希望以外の軸や条件を満たす企業とご縁があったときどうするかなど考えておいても良いでしょう。
Q.就活の軸は途中で変わってもいい?
A.最初に定めた軸に固執する必要はありません。就活を進めていく中で、就活の軸が変わることは珍しくありません。特に就活の初期では、軸を基に選定した企業がしっくりこないこともあるでしょう。しっくりこないときには、「何に違和感があるのか」を深掘りしていくことが大事です。そうすることで、自分の新しい価値観に気がつくことができるかもしれません。
Q.就活の軸、どこまで本音で話せばいい?
A.本音をすべて話す必要はありません。ただし、取り繕ったり、企業に合わせてまったく違う軸を伝えてしまったりするのは、ミスマッチの原因となるため避けましょう。
例えば、面接の場では言いにくいようなネガティブな軸だとしても、それが自分にとって大事なことであれば、ほかの言葉に言い換えることができないか検討してみましょう。
Q.就活の軸に矛盾や迷いがある場合はどうすればいい?
A.抽象的な言葉や、ふわっとした言葉で軸を設定していると、こういったズレは生じやすいです。何に矛盾や迷いを感じているかを、考えてみましょう。1人で考えても答えが出ないときには、就職エージェントなどのキャリアアドバイザーに相談をしてみると良いでしょう。
また、自分なりに整理しきれないまま面接で質問された場合には、取り繕おうとせずに「自分でも整理できていないところがあるのですが…」と前置きをして正直に話してみるのも一つの手です。
就活に困ったときにはプロに相談!
最後に、本記事を監修してくださったリクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザー(東さん)から、就活生へのアドバイスをもらいました。
就職エージェントのキャリアアドバイザーは、学生のことをよく知る保護者や友人、学校での様子を知ることができるキャリアセンターの職員とは違い、相談や面談を通して初めて学生と知り合うことになります。
つまり、学生の普段の様子や、学校の前提など何も知らない状態で、その学生について知るためにさまざまな質問をしていくという点では、企業の面接担当者と同じような立場にあるとも言えるでしょう。そのため、キャリアアドバイザーがする質問は、企業から面接で聞かれる質問とも類似していて、面接の練習にもなります。
この面談でうまく回答できなかったからといって何かの合否が決まるわけではありませんし、回答に詰まったところや具体性に欠けるところは、キャリアアドバイザーがマンツーマンで改善のサポートをしていきます。自分を俯瞰(ふかん)してみる機会にもつながるので、最初は緊張するかもしれませんが、ぜひ気軽な気持ちで相談に来てみてください。
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プロフィール 東 佑樹(ひがし・ゆうき)リクナビ就職エージェント・キャリアアドバイザーのSV(スーパーバイザー)。大学卒業後、IT業界にて法人営業を経てリクルートキャリア(当時)に転職。キャリアアドバイザーとして中途領域を経験し現在新卒領域を担当。自身が対峙(たいじ)する学生が納得感を持って意思決定ができるような支援を心がけている。