社風とは、その企業が持つ雰囲気やスタイル、伝統のことです。社風とのマッチ度によって、成長しやすさ、成果の出しやすさも変わるため、自分に合った社風を見極めることは企業選びにおいても大切なポイントです。ここでは、企業規模の傾向と特徴、志望動機への生かし方などを就活のプロであるリクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーが解説します。
目次
就活ではなぜ「社風」を知ることが大切なのか
まず前提として、その企業が持つ雰囲気やスタイル、伝統を表す社風に「良い/悪い」というものはありません。ただし、自分に「合うか/合わないか」というものは存在するでしょう。
自分に合う環境で働くことは、働きやすさを感じたり、成果の出しやすさを感じたりするためには重要なことです。気持ち良く働けて、自分が力を発揮しやすい環境かどうかを見極めるために、就活では企業の社風もチェックすると良いでしょう。
自分に合った社風の企業は?探し方・見極め方の5ステップ
就活では、以下の5つのステップに沿って、自分に合った社風の企業を探して見極めましょう。
- 過去を振り返って居心地の良かった環境を言語化する
- 第三者に意見を聞く
- 意見を基にブラッシュアップして、より明確な言葉にする
- 選考を受ける企業の社風を調べる
- 1〜3で言語化した自分の価値観と、4で調べた企業の社風がマッチするか考える
ステップ1. 過去を振り返って居心地の良かった環境を言語化する
自分に合った社風を見極めるためには、まず過去に自分が所属していたコミュニティーを振り返ってみましょう。居心地が良かったのはどんな環境だったか、どうしてそう感じたのかを参考にしながら、自分らしくいられる場所、自分が力を発揮しやすい環境を言語化していきます。
ステップ2. 第三者に意見を聞く
自分なりに言語化できた後は、自分のことをよく知る家族や友人に「私には、〇〇な環境が合っていると思うんだけど、どう思う?」などと聞いてみましょう。こういった自己分析は自分でも気がつかないうちに、「自分は〇〇だと思われたい」といった理想の姿を反映していたり、「きっと〇〇だろう」といったバイアスがかかっていたりすることも少なくありません。第三者の視点から意見をもらうことで、より冷静な判断ができるようになります。
意見を聞く際は、特に自分とは違う価値観を持つけれども、自分のことをよく知っている人に聞いてみるのがオススメです。自分だけでは気がつくことができない、異なる視点から分析してくれるかもしれません。
ステップ3. 意見を基にブラッシュアップしてより明確な言葉にする
第三者の意見をすべてうのみにする必要はありませんが、指摘されたことを踏まえて、もう一度「自分らしく力を発揮できそうな環境」を考え直してみましょう。
ステップ4. 選考を受ける企業の社風を調べる
自分に合いそうな社風を言語化した後は、選考を受ける企業の社風を調べましょう。オススメの調べ方は、会社説明会やOB・OG訪問、面接で「どんな社員が活躍しているか?」を聞くことです。この質問をすることで、その企業になじめていて、かつその環境で力を発揮して貢献できる人の特徴を知ることができます。
企業の社風を調べる方法(一例)
- 企業のWebサイトやインタビュー記事をチェックする
- 口コミに目を通す
- 会社説明会や面接で、採用担当者にどんな社員が活躍しているかを質問する
- OB・OG訪問で、どんな社員が活躍しているかを質問する
- 就職エージェントに、過去にどんな人が採用されているか確認する
- インターンシップに参加して自分の目で確かめる など
ステップ5. 言語化した自分の価値観と、企業の社風がマッチするか考える
最後にステップ1〜3で言語化した自分の価値観と、ステップ4で調べた企業の社風がマッチするかどうかを考えます。その企業で活躍している人の特徴を調べている場合には、そういう人と一緒に働きたいか、自分もそういう人になっていきたいかなどを考えてみるのも良いヒントになるでしょう。
志望動機で「社風」について語るときのポイント
社風とは、その企業が持つ雰囲気やスタイル、伝統のことだと説明しました。形のないものなので、志望動機で「御社の雰囲気に引かれました」という内容しか語れなければ、それがどんなに本音だとしてもほかの学生と差別化しにくくなってしまいます。
志望動機を語る際は、社風はあくまでも魅力を感じたきっかけとして伝え、企業研究をしていく中で見つけた具体的な魅力について語る方が良いでしょう。
もしも、伝統や企業としてのスタイルに非常に強く共感していて「どうしても社風に魅力を感じたことを伝えたい」という場合には、具体的にどんなところからその社風を感じたのか、なぜ共感しているのかを自分の過去のエピソードと共に伝えるようにしましょう。
志望動機で社風について語るときの具体例
私は御社のインターンシップに参加した際、部署を横断して1つのプロジェクト成功のために妥協なく協力し合う社員の方々の様子から、チームワークの良さを感じました。
私自身も、部活で団体スポーツのサッカーをしており、周囲の力をまとめて1つの目標を達成していくことにやりがいを感じています。また、日々のコミュニケーションを大切にしながら、時には激しい議論も交え、周囲と協力し合うことが得意でもあります。
御社でならば、自分の得意なコミュニケーションスタイルを生かして働けると考えました。入社後は、チームの一員としてプロジェクト成功に貢献したいと考えております。
社風は、企業規模や、外資系企業かどうかなどによっても異なる
社風は、企業の規模や業界などによっても異なります。ここでは、いくつかの企業カテゴリーごとに社風の傾向と特徴を紹介します。あくまで傾向のため、一概には言えませんが、ある程度の特徴を知っておくことで社風を調べる際のポイントになるかもしれません。
なお、企業の社風は、個社ごとに異なるため、選考を受ける企業については、必ず実際に調べるようにしましょう。
大企業の社風の例
大企業の多くでは、仕事は分業制です。そのため、任せられた仕事に対する専門性を高めやすい一方で、やることが決まっているケースも多いため、試行錯誤することに楽しみを覚えている人、自分なりのやり方やアイデアを生かしたい人とはミスマッチが生じやすいかもしれません。企業としての社会的影響範囲が広く、すでに安定したビジネスを手がけていることが多いため、一概には言えませんが、そこで働く人たちも安定志向の人が多い傾向があります。ただし、多くの人が働き、さまざまなビジネス部門があるため、同じ企業であっても部署によってまったく雰囲気が異なるということも珍しくありません。
中小企業の社風の例
大企業とは異なり、社員の人数もビジネス部門も限定されるため、1つの企業で1つの雰囲気という一体感を持ちやすいのが特徴です。組織間や社員間の横のつながりも重視していることが多いでしょう。
ベンチャー企業の社風の例
ベンチャー企業のような新興企業の社風は、ビジネスフェーズによっても変わることが多いのが特徴です。
例えば、ビジネスアイデアを検討している段階(シード期)や、必要最小限の商品とサービスを開発して売り上げを立てている段階(アーリー期)などでは、自分たちで勝ちパターンを探して試行錯誤することでワクワクする人たちが多いでしょう。この時期は社員数も極めて少ないことが多いため、一人で計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)のPDCAサイクルを回し、最初から最後まで自分で進めていきたい人には良いかもしれません。
勝ちパターンのビジネスモデルを見つけて収益が安定し始める段階(ミドル・グロース期)や、黒字状態が続くようになる段階(レイター期)などでは、その社風は中小企業の社風に近くなる傾向があります。
外資系企業の社風の例
外資系企業では、自分のことを自分でコントロールできる人、コントロールしたい人が多い傾向にあります。働き方は柔軟な一方で、実力勝負な面も多分にあるので、自分を律することができないと苦労をしてしまうかもしれません。自由の中で自分を管理し、自分で考えて行動をして結果を出していきたい人、多様な価値観への適応力がある人は向いているかもしれません。
就活に困ったときにはプロに相談!
最後に、本記事を監修してくださったリクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザー(東さん)から、就活生へのアドバイスをもらいました。
就職エージェントのキャリアアドバイザーは、学生のことをよく知る保護者や友人、学校での様子を知ることができるキャリアセンターの職員とは違い、相談や面談を通して初めて学生と知り合うことになります。
つまり、学生の普段の様子や、学校の前提など何も知らない状態で、その学生について知るためにさまざまな質問をしていくという点では、企業の面接担当者と同じような立場にあるとも言えるでしょう。そのため、キャリアアドバイザーがする質問は、企業から面接で聞かれる質問とも類似していて、面接の練習にもなります。
この面談でうまく回答できなかったからといって何かの合否が決まるわけではありませんし、回答に詰まったところや具体性に欠けるところは、キャリアアドバイザーがマンツーマンで改善のサポートをしていきます。自分を俯瞰(ふかん)してみる機会にもつながるので、最初は緊張するかもしれませんが、ぜひ気軽な気持ちで相談に来てみてください。
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プロフィール 東 佑樹(ひがし・ゆうき)リクナビ就職エージェント・キャリアアドバイザーのSV(スーパーバイザー)。大学卒業後、IT業界にて法人営業を経てリクルートキャリア(当時)に転職。キャリアアドバイザーとして中途領域を経験し現在新卒領域を担当。自身が対峙(たいじ)する学生が納得感を持って意思決定ができるような支援を心がけている。