【カンボジア編】「異文化におけるコミュニケーション」をどうするか

Reported by 永遠の野球小僧
カンボジアの首都プノンペンにある日系企業の現地法人でマネジメントを担当。現地での趣味はゴルフ。また、近々野球のナショナルチームの審判の手伝いを始める予定。

英語に加え、できれば現地語も。なにより協調性・社交性が大切

こんにちは、永遠の野球小僧です。私は合計25年以上の海外駐在を経験しました。今回は、その経験を生かして、駐在員を目指す人たちに、海外生活を送る上での心構えお伝えしたいと思います。

皆さんが「海外に駐在する」ということに対して、持たれているイメージはさまざまだと思います。ここでは、現地でとても大切な「異文化におけるコミュニケーション」についてお話しします。

やはり一番大切なのは、現地の人とのコミュニケーションをうまくとることだと思います。その基本はやはり「あいさつ」です。「おはよう」から始まり「ありがとう」「こんにちは」「さようなら」。それをできれば現地の言葉で。日常生活の基本となることから始めるのが大切だと思います。

また、仕事以外でプライベートのことも話せるようなコミュニケーションの場を、日本人スタッフから能動的に設けることも大事です。

私はカンボジアの人たちについてより深く知るために、ビジネスライクな付き合いだけでなく、たまにスタッフの友人や家族も含め、郊外でのバーベキュー・パーティーのような催し物を開催しています。そのとき、私たちが何を考えているのか知りたいと、スタッフの方から積極的にいろいろ質問してくることがありますね。私たちも彼らの思考が理解できることもあり、勉強になっています。

言葉について、一つハッキリ言えるのは、英語は教科書通りに話しても、なかなか通じないケースが多々あるということ。事前に勉強しておく点では、どこに赴任しても共通する要素である文法の習得を優先した方が良いかもしれません。リスニングやスピーキングに関しては、国によって発音がまったく違いますから、現地に行って現地の人から学ぶに越したことはありません。できれば駐在する前に、実際に海外へ留学などで行ってみて、英語が必要に迫られるような環境に自分の身を置く方が、日本で勉強するよりも効率良く英語を身につけられると思います。

また、英語に頼るだけではコミュニケーション不足になります。現地の人のことを本当に理解するためには、その国の友人・知人を積極的につくりましょう。そして現地語、カンボジアで言えばクメール語を教えてもらうなどして、現地社会に溶け込んでコミュニケーションを図ることが必要です。

駐在準備は学生時代のほんの少しの積極性と思いやりから

現地の人にとって、日本人は「異文化」で、彼らとは「異なる」存在です。そのため、海外で生活し、コミュニケーションを円滑にしようと思うならば、何よりも「自分は海外に行けば外国人だ」ときちんと認識することが大切なのです。

今回は、会社から急に赴任を命じられたので、カンボジアの文化や歴史について勉強する時間がほとんどありませんでした。場合によっては、あえて事前勉強せず余計な先入観を持たない方がいいこともあるかもしれませんが、国によっては歴史的な経緯から日本人を嫌っていることもあります。例えば、初めての駐在先だったシンガポールで、タクシーに乗ろうとしたら「日本人は乗せない」と言われたことがあります。なぜかと尋ねると「父親が戦争で日本人に殺された」と言うのです。

もし、学生のうちから自分が仕事をしてみたい国や、そこまで行かなくても留学や観光で行ってみたい国があれば、現地の人とのコミュニケーションを円滑にするためにも、そうした国ごとの歴史や文化を事前に勉強しておくに越したことはないでしょう。

また、駐在員を目指す人は、学生時代にサークルやアルバイトなどを通じて異文化交流ができるくらいの積極性、社交性を養っておくことも大切です。ただし、スタートはボランティア活動などという組織だった大がかりなものでなくても、駅で行き先を探している外国人に声をかけてあげるというような、ほんの少しの積極性、思いやりの気持ちで十分です。もちろん、正式にボランティア活動に参加したり、留学生など外国人に自分の好きなことを教えてあげたりするのも、とても良い経験になると思います。

正直、海外駐在はすごく大変な面もあります。テレビドラマなどではかっこいい場面ばかり報じられているかもしれませんが、そのレベルに行くまでに、さまざまな苦労があることは覚悟しておいた方がいいです。

外国での生活は、やはりいろいろな面で不自由、精神的なフラストレーションを多く感じる局面があります。日本では当たり前に入手できる情報や資料が入手できなかったり、輸出入の規則が煩雑で、送付されたものが予定通りに届かなかったりする。こうしたことが日常茶飯事です。「ここは日本でない。時間も手間も多くかかることを前提にして対処していこう」と常に意識することが必要ですし、その対処法を一つひとつきちんと考えるのが、駐在員の重要な役目の一つです。

これだけ物や情報、人の行き来が多くまた不可欠な時代を生きる皆さんにとって、海外駐在は、以前のように「特別な人間に対しての特命任務」ではなくなってきているのは事実です。ただし、今まで述べてきたような準備を怠ると、苦しく、大変な仕事になってしまいます。日本で働くよりも大きな責任を負うことが多くあり、日本ではやらなくても済むこともやらねばならないときがありますが、駐在員はやりがいのある仕事でもあります。

「備えあれば憂いなし」。学生時代にサークルやアルバイトによる精神面や身体面での訓練、多岐にわたる学習は無駄にならない大切な準備ですし、学生生活を有意義にする大きな力になり得ると思います。

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2014年6月末に開店予定のイオンモール。日系を中心としたレストラン、店舗、映画館やアイススケート場もでき、プノンペンに新しい商業文化を吹き込む中心地となりそうだ。

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プノンペン市内の外国人向けスーパーマーケット。欧米のものを中心に、日本製品の化粧品やシャンプー、酒類などが商品全体の2割ほどある。

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プノンペンから南西約230キロメートル、カンボジア唯一の本格的な港「シハヌークビル」。マリンスポーツのメッカでもある。電力不足解消のため、マレーシア、中国などの支援で大規模な火力発電所が建設された(写真は建設中のもの)。

構成/大根田康介

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