【スウェーデン編】海外駐在には自然体で臨みたい

Reported by アルフレッド
スウェーデンにある日系企業の現地法人に勤務。現地での楽しみは、家族旅行やゴルフ、テニス、ソフトボールなどのスポーツ。ローカルスタッフとのパーティーと駐在員仲間との飲み会も良い気晴らしになっている。

以前と異なる駐在手当の意味合い

こんにちは。アルフレッドです。今回は、海外駐在に臨む心構えについてお話しします。

 

これは私見ですが、ヨーロッパにはおしなべて保守的な人が多く、彼らは今の生活をさらに良くするための努力は惜しみません。したがって、自動車やスマートシティといった新しいビジネスも生まれるのですが、半導体、ITなど斬新な発想が必要な産業においては、どうしてもアメリカや日本に遅れを取っていると言わざるを得ません。特にアメリカでは、新しいビジネスが次から次へと生まれており、今も世界中の技術や経済をけん引し続けています。そのため、自分のキャリアアップを考えると、ヨーロッパよりもアメリカの企業を相手に、この分野の最前線で切磋琢磨(せっさたくま)したかったというのが私の正直な気持ちです。海外駐在を希望する際は、「駐在できればどこでも良い」ではなく、各地域で注目されているマーケットや、自分の会社の置かれている立場、駐在後の仕事内容を総合的に検討して、自分が何をやりたいのか決めることが大切だと痛感しています。

 

とはいえ、駐在先の希望が通ることなど、まずありません。直前に担当していた仕事次第というのが実情です。そう考えると、駐在前に日本でどのような部署に配属され、どのような分野で専門性を高めるかが重要。入社時にある程度長期的な展望を持って、自分の専門性を真剣に検討し、担当業務の注目度も考えながら、将来性のある業務に積極的に取り組んでいく必要があります。

 

一方、駐在生活がスタートしてからは、あまり気負わずに臨んだ方がいいようです。「こうでなければならない」などと自分が感じる感覚を無理に封じ込めずに、のびのびと生活・仕事をすることが大切なのではないでしょうか。そうすることが、ストレスをためずに、いろいろな困難をうまく乗り切れる秘訣(ひけつ)ではないかと思います。私自身、赴任当初は、とにかくローカルスタッフの信頼を得たい一心でオーバーワークをしてしまった時期もありました。担当外の業務にもでしゃばりすぎて顰蹙(ひんしゅく)を買ったことも。仕事をするうちに、引きすぎず出すぎず、バランスよく自然体で取り組むのがベストだと気づき、今はそのように心がけています。

 

なお、今の時代はどの会社もそうだと思いますが、駐在手当は、バブルのころと比べると、額はだいぶ減っています。以前よりも多くの駐在員が海外で生活しており、制度も変わってきていますので、致し方ないことかもしれません。以前の「駐在手当」には、海外ならではの生活の苦労に対する「ハードシップ手当」に加えて、特別なミッションを与えられた優秀な人材に対する「業務加算手当」という意味合いもあったかと思いますが、現在は実質的に「ハードシップ手当」分しか支給されていない、という認識です。

 

「立ち上げ」経験のすすめ

海外で仕事をすることで私自身が得たものとして挙げられるのは、第一に「コミュニケーション能力」。ヨーロッパにはさまざまな人種がいますので、それぞれの文化に精通し、歴史的背景も含めた知識も身につけなければ、同僚や顧客との会話が成立しません。日本文化について聞かれることも非常に多いため、日本のことを勉強する機会が増え、日本の良さもあらためて認識することができました。また、日本にいたときよりも、相手の立場に立ったものの考え方ができるようになったと思います。

 

特に、スウェーデンに駐在したことで、普通に日本で生活していたら知り得なかった知見がいろいろ得られたことは、何よりもの収穫でした。北欧は旅行でもなかなか簡単には訪れることができるところではありませんので、スウェーデンを中心とした北欧諸国の文化、異なる人生観などに触れられたことは、かけがえのない良い経験になりました。特に、社会福祉から労働条件まで完全に日本とは対極の仕組みができあがっており、こうしたものに触れたことは、人生観をあらためて考えるいい機会になったと思います。

 

人脈も同様。外国人の知り合いが増えたことはもちろん、普段は接することができない日本人の方々とも知り合うことができました。ストックホルムには「Japanese Businessmen’s Club(JBC)」という組織があり、日系企業の駐在員が加盟することができます。定期的に総会やイベントを行うことで、スウェーデンに住む日本人同士の情報交換など互助活動を促進しており、加盟数こそ個人会員を含め企業数にして約20社とこぢんまりしているものの、商社から製造業、小売業までさまざまな業種の方と知り合い、情報交換することで知識の幅が広がりました。また、JBCや子どもが通うインターナショナルスクールを通じて、大使館員の方々と知り合うことができたのも、やはり他地域と比べて日本人駐在員が少ないスウェーデンならではだったのではないかと思います。

 

将来、海外で仕事をしたいと考えている皆さんにぜひとも伝えたいのは、海外駐在の醍醐味(だいごみ)。何より、海外駐在だからこそ、プライベートではなかなか行けない所に足を運べるし、異国の文化を肌で感じることができるのです。同時に、前述の通り、駐在先では、日本にいたときと比べて、限られた情報しか入ってこなくなるのも事実。よほど高くアンテナを張っていないと、本社の主流から取り残されることになるというのが、偽ることのない私の実感です。駐在先が主流から外れた地域となった場合は、特に感度を高くして日々の業務に取り組まなければなりません。営業職よりも技術職の方が、さらにその傾向が顕著ではないかと思います。

 

また、日本にいるときに比べて自分の裁量で仕事が進められる代わりに、その結果に対する日本の本社からの目も厳しくなり、駐在期間中に何らかの形で成果を残すことが必ず求められます。日本にいれば、平均以上の仕事をこなすことで平均以上の評価が与えられ、平穏な会社生活を定年まで送ることができるのに対し、ひとたび海外に駐在員として出ると、会社からの期待値と比例して評価も厳しくなり、平均点だけ出す人間では、低い評価しか得られないというのが、私の個人的な印象です。何も結果を残さず帰任すると、帰国後も戻るポジションがなくなり、肩身の狭い思いをして残りの会社生活を送ることになりかねません。

 

もちろん、興味がある人ならぜひとも積極的に手を挙げて経験していくべきだと思います。相応の自覚と覚悟を持って臨まないと、駐在前後でその人の処遇が天地の差ほど異なるものになってしまうとは思いますが、これは主に30代以降の中堅どころについて言えることであり、企業や業種によっては入社直後にトレイニー(研修員)として海外に出られるケースもありますので、その場合は失敗を恐れずがんがん仕事に取り組んでいけば良いと思います。

 

最後に、学生のうちにやっておくといいことについて。どのようなことでもいいので、自分で何かを起案し、それを実現することのできる力を身につけておくということでしょうか。大学がサポートしてくれていれば、「起業」でも良いし、ほかにも「サークルや部を立ち上げて公式戦に出場させる」「研究室で新たなテーマを立ち上げる」など何でも良いので、とにかく、自分の力で何かを成し遂げたという実績を作っておくことが、後々役立つと思います。その際も、自分だけで進めずに、常に周りの人たちを巻き込んで、コミュニケーションをうまく取り論理的に物事を進められるようにしておきましょう。そのような経験があれば、会社に入ってからの仕事や海外駐在で外国人を相手にする場合、どのような場面においても自信を持ってうまくこなしていけるのではないかと思います。

 

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スウェーデンの料理としては定番のミートボールのリンゴンベリージャム添え。北欧料理にはビタミン源としてリンゴンベリーが良く添えられるが、甘酸っぱさが、塩っ辛い北欧料理に意外とよく合う。

 

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毎年4月30日に行われるヴァルボリというお祭り。たき火を囲んで、春の訪れを祝う。たき火は、クライマックスには火炎流となり、思った以上に迫力がある。

 

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ストックホルムの高級住宅街エステルマルムのサルハル(市場)。新鮮な魚介、肉、野菜が入手できる。

 

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ガムラスタン(旧市街)のクリスマスマーケット。暖かいグリューワインを飲みながらゆっくり買い物を楽しめる。

 

構成/日笠由紀

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