自分なりに就活をしてきたつもりだけど、気付いたらすべての志望先の選考に落ちてしまい、1社も内定が取れなかった…。もしそんなことになったら、思い切り落ち込んでしまうのは無理もありません。だからといって、この時点で「就活失敗だ」とあきらめるのは早すぎるというもの!「これまでの就活を振り返り見直すことで、自分にとってより良い企業に出会い、挽回するチャンスはまだ十分にあるはずです」と言うのは、学生のキャリア支援を数多く手掛ける西村武士さん。スタートのつまずきからの逆転を図るために、何を考えてどう行動に移せば良いのかを聞いてみました。
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プロフィール
西村武士(にしむら・たけし)
実践型就活&キャリアデザインゼミナールReaL代表。都内カーディーラーでトップセールスとして活躍したのち、大手人材紹介企業、コンサルティングファームでの採用統括マネージャーを経て2012年より独立。大手からベンチャーまで幅広い企業規模の採用コンサルティングや、企業研修の企画実施に従事。スポーツ選手のキャリア研修も手掛ける。また、「全国学外ゼミ」である、実践型就活&キャリアデザインゼミナールReaLは16年間で1080名の卒業生を輩出し、現在も全国18拠点で大学生が主体的に活動中。
まだ「就活失敗」ではない。気持ちを切り替えよう!
内定が出ない=否定されたわけではありません
就活で周囲が次々と内定を得ていく中、自分だけゼロという状況はつらいものです。そんなときはどうしても「自分は駄目人間だ」「価値がないんだ」と激しくネガティブに考えがちです。さらに周りの目が気になって、サークルやゼミにも非常に行きづらいですよね?
ここで強く伝えたいのは、就職が早く決まらないからといって自分が否定されたわけではないということ。就活の選考には相性もありますし、意外と単純な理由で内定につながらないこともあります。サークルやゼミの活動に行きたくないのなら行かなくてOK。その代わり、いったん気持ちを切り替えて、再度就活と向き合ってみましょう。
「やりたいこと」ではなく「どんな生き方をしたいか」
今後の就活の方向性が見つからないなら、「そもそもなぜ就職するの?」という自分への問いに立ち返ってみてはどうでしょうか。例えば「どんな人になりたいか」「人からどう見られたいか」「何を大事にしたいのか」です。こんな生き方をしたい、こんな環境がベストだからこの会社を選ぶ。このようにシンプルに考えてみてはどうでしょうか。必ずしも「やりたいこと」縛りで就活を進める必要はないと思います。
就活と向き合うと、とかく「やりたいことがない」「自分には何もない」と内省してしまいますが、裏を返せば今からなんでもできるということです。企業は真っ白なキャンバスのような可能性に懸けるのですから、まずは「何もないことも一つの個性」とポジティブに捉えてみましょう。
内定へのリミットを決めてスケジュールを組もう
就活の巻き返しを図るとき、最初にしてほしいのは「いつまでに内定を取る」と自分で期限を決めること。そこから逆算して行動を起こすことです。
実は、就活でつまずくパターンとして、スケジュール管理ができていないことが多いのです。「いつまでに何をする?」という問いに対して「夏休みに」「秋までに」などと言っているようでは、結局何も進まないでしょう。
例えば、多くの企業が内定式を行うのが10月1日。それまでに内定を取らないとその後の採用はより厳しいかもしれない。そう考えれば、いったんの期限は「9月30日がリミット」という設定になりますね。そこから逆算すると7月から8月にかけて、遅くともお盆明けまでには、いくつかの選考が進んでいなければいけません。
そこからさらに逆算して、「○月○日までに○通のエントリーシート(ES)を作成」「○月○日までに○社の選考を受ける」と、期限を付けてスケジュールを組んでみること。やるべきことが明確になり、日々の行動が起こしやすくなるでしょう。カレンダーアプリなどのデジタルツールにはアラート機能もあり、プライベートでも便利に使えるのでオススメです。
就活のスケジュールは、社会状況によって変わることもありますが、この「スケジュールを逆算する」という考え方は、社会人になってからも、とても有効な方法です。ぜひ、就活のタイミングで、身につけておきましょう。
これから応募できる「良い企業」を見つけるには?
グループ企業や堅実なBtoB企業も狙い目
有名企業の採用が集中する時期に内定を取れなかったからといって、「残っているのは中小や無名の企業ばかりだろう」と投げやりになってはいけません。
確かに超大手で、学生の間で知名度が高い企業は、早い時期に採用活動を終えてしまうケースがほとんどです。ただ、中には内定を辞退する学生もいるために、再び募集がある可能性もあります。また、俗に「冠企業」と呼ばれる大手のグループ企業も、求人を続けているところが多いので狙い目です。
さらに、業績は好調ですが学生の間ではあまり知られていないBtoB企業(Business to Business。企業や法人を相手に事業を行う企業)にも、採用を続けるところがたくさんあります。業界や知名度へのこだわりは横に置いて、高い利益を堅実に上げている企業を調べてみるのも一つの方法です。
「なぜ今なの?」と聞かれたら正直に答えていい
実はここ数年は、業績が好調な企業でも学生がなかなか集まらない実態があります。例えばリクルートキャリアの「就職みらい研究所」が行った、2020年卒の採用活動に関する調査によると、2019年12月時点で計画していた採用数に充足した企業は45.7パーセントにとどまりました (就職白書2020)。
つまり半分以上の企業が、当初の計画に満たない人数しか採用できずにいるのです。この状況から、多くの企業は季節を問わずアプローチしてくる学生を歓迎することでしょう。
ただし「なぜ説明会が多く開催されているタイミングではなく、今になって応募してきたのか?」と必ず聞かれますから、理由を説明できるようにしておくことは必要です。
その際は自分を飾ったり話を盛ったりするのではなく、正直に「スタートでつまずきました」や「○○という理由で乗り遅れました」と答えて構いません。続けて「自分を見つめ直すための良い機会になりました」「逆にやる気に火が付きました」と、その経験が無駄ではなかったことをポジティブに伝えらればOKだと思います。
要注意!「秋採用」は今まで以上に狭き門
ところで、時々「自分は出遅れてしまったので、(9月以降の)秋採用を狙います」と言う学生がいますが、これは考えが甘すぎます。なぜかというと企業の秋採用というのは、主に留学帰りの学生を想定しているからです。
ほかにも、公務員試験や資格試験に合格できなかった学生や、研究などの関係で本格的な就活ができなかった学生などもエントリーします。特に大手や大手のグループ企業では、例年、求人枠が少ないところに意欲の高い学生が集中し、文字通り少数精鋭からの採用になることが多いようです。
つまり、一般的には、秋採用は一般的に極めて競争率が高いのです。ここを理解すれば、秋採用に望みを託してひと息つくのではなく、とにかく夏が終わるまで、あるいは内定式までに決着をつけるつもりで活動するべきだということがよくわかるでしょう。
「どの段階で落ちたか」に応じて、異なる面接準備を
面接の結果から自分に足りなかったものを考える
早い時期に内定を取れなかった学生が、体制を立て直して巻き返そうというとき、特に重要になるのが面接準備です。例えば次のように、面接のどの段階で落ちたかによって、いくつかの原因が仮説として考えられます。以下を参考にして、自分の面接に足りなかったものを見直してみてください。
(1)1次面接で落ちてしまう場合は…
当然ですが、最初の面接に通らなければ次はありません。学生一人ひとりにあまり時間を使えない1次面接では、とにかく「第一印象」です。簡単に言えば「明るく元気に、笑顔で受け答えすること」。単純すぎて拍子抜けするかもしれませんが、第一印象が暗かったりネガティブだったりすると、まず先に進むことはできません。
一般的に選考で1次面接をするのは、人事部門の採用担当者であるケースが多いです。基本的に採用担当者は、1次面接が通過となった学生は全員採用されてほしいと考えます。ですから2次・3次と選考が進むときに、社内の各部署に対してその学生を推薦する立場になります。つまり、1次面接の担当者を自分の味方に付けることが、その後の選考の成否を握るカギにもなるのです。
1次面接がうまくいかない人は、明るい話し方や表情ができているかを、一度客観的にチェックしてもらうといいでしょう。
(2)2次、3次面接で落ちてしまう場合は…
1次面接は通過しても2次、3次で落とされてなかなか先に進めないという学生は、おそらく「数ある企業の中で、なぜ当社なのですか?」という質問に答えられていない可能性があります。
その場合「御社の○○が好きだから」「○○を愛用しているから」など、ファンになってしまっているケースが多く、その企業に自分が入社したらどのようなメリットがあるのか、どのようにして売り上げや利益を上げていけるのかという視点がありません。業界研究と企業研究でしっかりと深掘りして、その企業を選んだ判断基準と志望動機を、自分なりの言葉で説明できるようにしましょう。
(3)最終面接で落ちてしまう場合は…
最終面接までたどり着いた場合は、コミュニケーション能力があり、適性も活躍できる能力もあると認められているのは間違いありません。それなのになぜか落とされてしまう。理由が不明瞭という場合は次のように仮定できます。
1点目は、その企業で働く覚悟ができずに「入社したいと思っています」「おそらく行くと思います」と曖昧な言い方で、本命ではないことをにおわせてしまうパターン。2点目はあまりにも正直に「もう一社面接が控えているので、そちらがNGであれば入社します」などと答えて採用担当者をあきれさせてしまうパターン。どちらも非常にもったいないですね。
企業に第一志望か否かを聞かれたときは、はっきりと「第一志望です」と答えるのが基本です。理由を聞かれたときも、企業の周辺事情や競合他社との比較を基に、きちんと答えられる準備をしておきましょう。
今からでも遅くない。失敗を生かして再スタートを
「就活では、面接が通ればうれしくてラッキーだし、お祈りされたら悲しいという単純な感情論で一喜一憂しがちです。しかし、失敗からの巻き返しを図るためには、うまくいかなかった部分を自分なりに振り返って、今後の戦略につなげることがとても大事です。そして、決して自己否定感にとらわれないこと!」
最後にもう一度、西村さんは強調しました。
大丈夫、まだ「就活失敗」ではありません。最高のフィールドに出会えるよう、頑張ってください。
取材・文/鈴木恵美子
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