就活が「うまくいかない」ときを乗り切る方法 ~ESが書けない、友達だけに内定が…。シーン別・マインドチェンジ術

就活は大事だと頭ではわかっているけれど、いざ、始めてみると、うまくいかなくてへこむ場面は少なくありません。やる気がしぼんでしまうこともありますよね。けれども、それは自然なことだと話すのは、世界中のモチベーションに関する研究を集めた『図解モチベーション大百科』の著者・池田貴将さんです。「居心地の良かった大学を飛び出し、未知の社会に飛び込んでいく就活は、誰にとっても心理的ハードルが高いもの。うまくいかなかくてやる気が出ないことがあるのは当然です」
今回は、モチベーションの研究を調べ尽くした池田さんから、特に就活でうまくいかないなあと感じる具体的なシーンで、行動心理学的なエビデンス(根拠)に基づいた、「うまくいかないときを乗り切る」メソッドを伝授してもらいました。

→やらなきゃ、と思いつつもやる気が出ないときに試したい!効き目抜群、3つのやる気アップ術はこちら

池田貴将さんのプロフィール画像プロフィール池田貴将(いけだ・たかまさ)株式会社オープンプラットフォーム代表取締役
早稲田大学卒業。行動心理学・リーダーシップの研究に基づいたセミナー、サービス、コンサルティング、出版などを手がける。著書は『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』『図解モチベーション大百科』(いずれもサンクチュアリ出版)など、累計55万部を突破。会員制度・オンラインサロン「図書館」を1200名以上に提供中。

「ESが書きたいけど書けない」人のための3つのコツ

就活を進める上で、高いハードルの一つがES(エントリーシート)の作成ではないでしょうか。自分のことを書くのは不慣れなことに加えて、講義やアルバイトの合間に頭を切り替えて、作文に取り組むのは結構大変なもの。でも、こんなに面倒なES書きにも「苦手意識を除き、上手にモチベーションを引き出して、自分を乗せることは可能です」と池田さんは言います。行動心理学のメカニズムに基づいた自分管理のコツを教えてもらいました。

その1 「If 」「Then」で合図を出すと、書き始めのハードルが下がる

「やるべきことに手が付けられずモヤモヤしている人は、「If 」「Then」で合図を出すとアクションにドライブがかかります。例えば、『(もし)〇〇〇になったら(そのときに)〇〇する』というように、シーンと内容をピンポイントで決めてしまいましょう」と池田さん。具体的にいうと、『金曜の4限の授業が終わったら、大学のパソコンコーナーに行って2時間書く』などと決めてしまうのです。

ある実験では、学生にレポートを書かせたとき、事前に「いつ書き始めるか」を申告させると、何もしない場合と比べて提出率が2倍になったそうです。

漠然と「ESを書くぞ」と思って帰宅しても、家でリモコンを見たらテレビをつけてしまうように、人の行動は実際に見たり聞いたりしたものに影響されやすい性質があるといいます。
「ですから、例えば、この『金曜の4限の授業が終わったら大学のパソコンコーナーに行って2時間書く』というように、視覚イメージまで含めてきっちり場面設定をします。どうなったら、どうする、というサインを決めて自分に合図を出せば、人は動きやすく、面倒なことに取り組むときのハードルが下がるのです」(池田さん)

その2 面倒なESほど、1日の早めの時間に取り組もう

さらに池田さんは「ESを書くなら、1日のうちでも早い時間帯に。なぜかというと、早ければ早いほど、人は面倒なことに対する耐性が強いからです」と言います。

それを示すのがミネソタ大学の実験。被験者のうちAグループは冷たい水になるべく長く手を入れてもらい、Bグループには「ペンの色」「好みのTシャツ」「大学の講座」など多くの選択をしてもらった後に、冷たい水に手を入れてもらいました。するとBグループはAグループよりも我慢できずに早く手を出しました。さらに数学の問題を解かせても、Bグループはミスが多く、あきらめも早かったと報告されています。

つまり人は朝から夜まで選択を重ねることで、1日の中でも自制心や忍耐力が少しずつ消耗しているのです。「従って、自制心や忍耐力が残っている時間帯の方がESに取りかかりやすく、ミスも少なく済みます。大切なことほど早めの時間に取り組むようにしましょう」(池田さん)。このテクニックは言うまでもなく、ES以外にも使えます。活用しましょう!

その3 最初にわざと失敗しておくと、その後は頭が回転してスラスラ書ける

「ESの自己PRや志望動機がなかなか書き出せないときは、1行目に、例えば『実は御社にはあまり行きたくないのですが…』とか『自分は食い気だけが取り柄で…』とか、わざと変な文章を書いてみてください」と池田さん。

ハーバード大学がセールスマンや画家を対象に行った実験によると、「とにかく最善の結果を出すように」と言われたグループに比べて、セールスのスクリプトを途中でわざと間違えたり、絵の中に変な線を入れたりするように指示されたグループの方が、結果、営業成績や展覧会で評価が高かったといいます。

これを応用すると、ESも「間違ってはいけない」「いいこと書かなくちゃ」と最初から完璧を目指すと、自分を窮屈にし、思考力が乏しくなって、書くためのモチベーションが上がりにくくなります。「脱線して思考の枠を飛び出すことで、マインドが豊かになり、後の展開で頭がよく回るようになります。僕はブログを書くとき、最初の1行に『今朝のコーヒーは入れ方失敗しちゃったな』など、どうでもいいことを書いて、それを消しています(笑)。こうすることで、肩の力が抜けて、すっと書き始められるんです。ぜひ試してみてください」(池田さん)

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手すりにもたれている就活生

うまくいかない、やる気出ない…を乗り越える「マインドチェンジ」のコツ

自分を奮い立たせて就活が動きだしてからも、何かと「めげる」場面は多いものです。しかしそんなときも、決して自分を責めてはいけません。へこんだ気持ちを前向きにチェンジするための池田さんからのアドバイスを、再び行動心理学的なエビデンスと共にご紹介しましょう。

1. 自己分析がうまくいかないとき「自己PRが見つからない、自分がダメな人間に思える…」

【池田さんのアドバイス】

「あなたの長所を3個あげて」と言われれば考えながら答えられますが、「10個あげて」と聞かれたら誰でも苦しいもの。しかもそこで5、6個しか言えないと、人は「自分はダメな人間だ」と思ってしまう傾向があります。これが自己分析のワナ。なまじ「なかなか出てこない」という経験をしたことで、気持ちが落ち込んでしまうのです。モチベーション維持のためにも自己分析はほどほどに。例えば、自分の強みを考えるなら、まずはすぐに思いつく2、3個から進めてみましょう。

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【根拠になった実験(エビデンス)】
会社経営者を2つに分け、Aチームには自社の強みを3点あげてもらい、Bチームには12点あげてもらった。その後、経営者としての満足度は10点中何点か聞いたところ、BチームよりもAチームの方が平均2.5点も高かった。(ある経営コンサルタントの実験)

2. 業界研究で行き詰まるとき「何を調べていいかわからない。やりたいことがない…」

【池田さんのアドバイス】

学生は社会経験がないので、やりたいことが浮かばないのは、ある意味仕方がありません。そんなときはやりたい仕事を見つけて頑張っている人の話を読んでみることオススメします。このとき注意したいのは、自分と比較したりしないこと。ただただ、書かれた言葉を読むことに集中するのです。「プライミング効果」と言われますが、人は目にした単語に無意識のうちに影響を受け、後の行動が変化する生き物だからです。読んだものから「こんな生き方がしたいな」という発見があれば、きっとあなたの脳内で何かが切り替わり、行動も変わることでしょう。

【根拠になった実験(エビデンス)】
大学生を数チームに分け、単語群から文章を作ってもらった。その際に1チームだけ「シワ」「白髪」「つえ」など高齢者をイメージさせる単語を交ぜた。その後、別の場所に移動すると、高齢者単語のチームの学生たちは、ほかのチームよりも明らかに歩くスピードが遅かった。(ニューヨーク大学 ジョン・バルフの実験)

 

3. 友達に先を越されて落ち込んだとき「志望度の高い企業に落ちた。友達には内定が出ているのに…」

【池田さんのアドバイス】

周りの評価を気にするタイプの人は、自分がうまくいっているときはいいのですが、友達が先に内定を決めたりすると一気にモチベーションが下がることも。そんなときは、比較する対象を「他人」から「自分」に切り替えることをオススメします。「今度の面接から学んで、次はもっとうまくやろう」というふうに、過去の自分と比較するのです。これなら、機会を重ねるほどに“上達”していくので、楽しくなってモチベーションも倍増します。

【根拠になった実験(エビデンス)】
中学生を2チームに分け、Aチームには「ほかの学生と比較して評価する」と伝え、Bチームには「成績の上がり具合を基準にして評価する」と伝えてテストを実施。それを何度か繰り返した結果、最終的にBチームの方が大きく成績が伸びた。(心理学者 ルース・バトラーの実験)

まとめ

誰もが心の中で「やる気を出したい」「自分にもっと期待したい」と願っているもの。そのために必要なのは、自分を追い詰めることではなく、私たちを動かす力となるモチベーションと上手に付き合うことです。それができるようになれば、「やらなくちゃ」というストレスを、「やりたい」という気持ちに変えられます。ここでご紹介したシーン以外でも、「うまくいかない」「やりたくない」と感じたときには、これらの方法をぜひ試してみてください。きっと「うまくいく」兆しが見えてくると思います。

 

 

文/鈴木恵美子
撮影/刑部友康

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