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掲載日:2012年4月9日

Vol.126 マンションディベロッパー編

子育て・環境対応・耐震性・高齢者向けなど、特徴を打ち出した物件の建設が活発に

東日本大震災以降、耐震性や、被災時の対応力をアピールする物件が増加。また、屋上菜園や子育て応援施設など、特色を強く打ち出したマンションも現れている。

不動産経済研究所によれば、2001年から06年までの全国マンション発売戸数は、15.5万戸から17万戸程度で安定的に推移してきた。ところが、「耐震偽装建築問題」の影響で建築基準法が改正された07年、発売戸数は13.4万戸と大幅に減少。さらに、リーマン・ショックによる不況のあおりを受け、08年は9.8万戸、09年は8.0万戸にまで落ち込んだ。その後、10年は8.5万戸、11年は8.7万戸と増加。12年も、首都圏を中心に発売戸数は回復傾向にあるが、それでも従来の水準に比べればまだまだ低い状態だ。発売戸数が最も多いのは首都圏で、11年の発売戸数は4.4万戸。そのうち、東京23区内の発売戸数は1.9万戸だった。全国の新築マンションの約半数が首都圏に集中し、さらにその4割強が東京23区に集まっていることになる。少子化・人口減少が進む日本だが、都市部への人口流入は続くと見込まれているため、今後も首都圏・都心部のウェイトは高まりそうだ。

マンションディベロッパーは、物件仕入れのために多額の借入をすることが多い。そのため、市場が冷え込んだ08年以降、負債が膨らんだ新興ディベロッパーを中心に破たんが相次いだ。一方、賃貸事業やマンション管理事業、さらに不動産以外の事業などを展開している企業は、不況時でも経営基盤が相対的に安定していると言える。なお、主なディベロッパーは、三菱地所レジデンス、野村不動産ホールディングス、三井不動産レジデンシャルなどの総合不動産企業、大京などの独立系ディベロッパー、東急不動産、近鉄不動産などの鉄道系企業などに大別できる。また、あなぶき興産(本社:香川県高松市)、マリモ(本社:広島県広島市)のように、地方で存在感の大きいディベロッパーもある。

マンション購入の中心層は30代。都心部ではDINKS(共働きで子どものいない夫婦)層、郊外ではファミリー層の占める割合が大きい。そのため、これらの層に訴求するマンションの建設が活発に行われている。例えば大京などは、バイリンガル保育園や、英語だけが使われる学童保育施設を敷地内に設けた分譲マンション「ミリカ・ヒルズ」を建設。中堅ディベロッパーのリブランは、屋上菜園・エコ関連ワークショップなどが楽しめるマンションシリーズ「エコヴィレッジ」を建設している。また、11年3月の東日本大震災以降は、耐震性や被災対応力をアピールする物件も増えた。

11年5月、将来的にひっ迫が予想されている高齢者向け住宅需要に対応するため、「高齢者住まい法」が改正された(施行は11年10月)。これにより、高齢者対応をうたうマンションも増加の傾向にある。医療機関(聖路加病院など)、介護系企業(ベネッセなど)、警備会社(セコムなど)といった企業も参入しており、今後、成長が見込まれている分野だ。

中古不動産市場にも注目が集まっている。アメリカやイギリスでは、マンション市場の7割以上が中古物件だと言われるが、これまで日本では中古物件の取引が相対的に少なかった。しかし、不況の影響や、政府がマンションの耐久年数を引き上げる政策を打ち出していることなどがあり、日本でも本格化するだろうとみられている。中古マンションの「リノベーション」事業に乗り出すディベロッパーが、今後は増えるかもしれない。

【押さえておきたい情報をピックアップ!】

マンションディベロッパー志望者の必須キーワードとは?

復興支援・住宅エコポイント エコ住宅の新築や、窓や外壁の断熱工事などの「エコリフォーム」をした人に、東日本大震災の復興支援商品、またはエコ商品などと交換できるポイントを発行する制度。地球温暖化対策の進展や、住宅市場の活性化にも寄与すると期待されている。
リノベーション 中古マンションなどを改築・改装して、価値を高めること。間取りを変更して使いやすくする、調理機器を一新して機能性を高めるなど、大幅な改装を指すことが多い。なお、同様の意味で「リフォーム」と呼ばれるケースもあるが、これは和製英語。
高齢者住まい法 正式名称は、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」。11年10月、改正法が施行された。高齢者が自立し、安心して暮らせる社会の構築に向け、高齢者の状況に応じた住まいと、生活支援・介護サービスが確保されるよう対策を強化するのが目的。
イールドギャップ 不動産の投資利回りから、借入金の利回りを引いたもの。例えば、不動産の利回りが5パーセントで、それを取得するために借り入れた資金の金利が2パーセントなら、イールドギャップは3パーセントになる。

【このニュースだけは要チェック!】

「環境」と「収益多様化」がキーワード

・大和ハウス工業の子会社であるダイワサービスが、マンション管理会社のグローバルホールディングを買収すると発表。管理戸数を増やしてマンション管理事業の競争力を高め、マンション開発以外にも収益の柱を打ち立てるのが目的とみられる。(2012年3月19日)

・野村不動産が三菱商事と共同で、「スマートシェア・タウン構想」という街づくり構想のもと、千葉県船橋市で再開発事業をスタートすると発表。電気自動車・自転車の活用、災害時の電源確保システム導入など、環境に配慮した設計になっている。(2012年3月23日)

この業界の指南役
日本総合研究所 副主任研究員 福田隆士氏
日本総合研究所 副主任研究員 福田隆士氏
早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。専門は事業戦略、事業性評価、マーケティング戦略。幅広い業界、規模の企業を対象に活動しており、特にサービス・流通関連のマーケティングに注力中。
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取材・文/白谷輝英 撮影/平山 諭 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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