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掲載日:2011年3月14日

Vol.80 コンビニ編

駅構内などへの出店や異業種との提携が活発化。
都心部でのシェア拡大が成長の鍵を握りそう

店舗に太陽光発電装置や、電気自動車用の充電スタンドを設置したり、店内照明や看板にLED照明を導入したりするなど、店舗の「エコ化」を進めるチェーンも登場している。

社団法人日本フランチャイズチェーンによれば、2010年における同協会正会員10社の全店売上高は8兆175億円。対前年比で1.4%増加した。しかし、ここ3年ほどのコンビニエンスストア業界では年800店舗ほどのペースで店舗数が増えており、チェーン間の競争は激化する一方だ。また、近年では景気低迷によって消費意欲が低下。さらに、低価格なプライベートブランド(小売業者による独自企画商品)を増やしたため、客単価も下がっている。その結果、既存店ベースの売上高は、対前年比0.8%減の7兆7947億円にとどまった。

今後の日本では、人口減少と都市部への人口集中が進む。そこで、コンビニ業界においては、都市部でのシェア拡大が成長への鍵となるだろう。10年3月、都市部を中心に出店していたam/pmをファミリーマートが買収したのも、都市部での競争力強化が目的の一つと言われる。また、多くの来店客が期待できるが、これまでにコンビニがなかった場所への出店も活発化しそうだ。例えば、駅構内、オフィスビル内、大学、病院などが、新たな出店先として注目を集めている。

コンビニは、ATM、チケット販売、公共料金支払い、宅配便受付など、サービス領域を広げることで来店客を集めてきた。こうした「街のプラットフォーム化」の動きは、今後も続きそうだ。現在注目されているのが、コンビニチェーンが石油元売り会社や地方自治体などと協力し、敷地内に充電スタンドを設置する試み。また、下表で示したように、ドラッグストアなどと協力し、新たな商品やサービスを提供することで集客力アップを目指すケースも増えるだろう。

電子マネーの利用を増やす施策も、各社が積極的に取り組んでいる。例えば、セブン-イレブン・ジャパンは10年8月に、交通系電子マネーを各エリアのセブン-イレブン店舗で利用できるようにすると発表。同チェーンは独自の電子マネー「nanaco」だけでなく、「Edy」など複数の電子マネーに対応しているが、Suicaなど各地域に密着した交通系電子マネーも導入することで、さらに利便性を高めようとしている。

国内市場の量的な拡大が見込めないことから、各社は利益率の向上に力を入れている。特に盛んになっているのが、プライベートブランド(PB:小売業者による自主企画商品)商品の比率を高めること。PB商品はナショナルブランド(NB:メーカー製のブランドのこと)商品に比べて仕入れコストを減らすことができ、その分だけ利幅が大きい。各社の総売上高に占めるPB比率は、セブン-イレブンで50%、ローソンとファミリーマートで40%程度であり、各社とも前期比で2〜3ポイント増加した。また、従来はPBといえば低価格商品の代名詞であったが、セブン-イレブンが10年9月に販売を開始した高級PB食品シリーズの「セブンプレミアム・ゴールド」など、高付加価値品が拡大しはじめている。

また新市場としては、各社は中国・東南アジアを中心とした新興国市場への海外展開にも注力している。最も先行しているのはセブン-イレブン。米国、タイ、台湾、韓国、中国など世界15カ国・地域で2万6000店以上を構えている。また、ファミリーマートは韓国で5000店以上を出店するなど、6カ国で9200店舗を展開。12年には世界2万店体制を築く計画である。海外店舗が中国・上海の約300店にとどまっているローソンも、中国以外の国に進出を狙っていると言われる。今後は、アジアの新興国市場を中心に、大手各社の進出が加速するだろう。

【押さえておきたい情報をピックアップ!】

異業種との提携が活発化するコンビニ業界

ドラッグストア ローソンはマツモトキヨシホールディングスと共同で、10年7月、生鮮コンビニ「ローソンストア100」とドラッグストア「マツモトキヨシ」の共同店舗をオープン。今後は、共同出資による新業態店舗の設立を検討する予定だ。
鉄道会社 10年11月、北海道キヨスクが、サンクスとして展開していた5店舗を含む6店舗をセブン-イレブンに転換。駅構内は集客力が非常に高いため、各コンビニは鉄道会社と提携して好立地を一気に手に入れるチャンスをうかがっている。
ガソリンスタンド スリーエフは10年7月、コスモ石油、エナジーグリーンと共同で、横浜市内の店舗に電気自動車向けの充電器を設置。期間は11年6月までを予定しており、利用状況を見て継続を検討するという。
郵便局 08年2月、ローソンと日本郵政が事業提携で合意。当時は、3年間で800もの共同店舗を設立したり、店舗運営や物流での協力を積極的に図るとされていたが、現時点では出店数も少なく、大きな成果は挙げていない。

【このニュースだけは要チェック!】

「エコ店舗」の試みに注目

・サークルKサンクスが、新しい省エネ・エコ店舗を公開。最新型の太陽光発電システムを設置し、照明や冷機ショーケース用ライトのすべてにLED照明を採用。従来型店舗より、消費電力量で2割以上、二酸化炭素排出量で4割以上の削減となる。(2011年1月25日)

・ローソンが、電気自動車用の充電スタンドを岡山市内の直営店に設置。同社としては、東京、大阪などに続き5基目の導入。9時から21時まで、買い物客に無料で開放している。今後も、地方自治体などと連携して充電スタンドの整備に努める予定。(2010年12月22日)

この業界の指南役
日本総合研究所 コンサルタント 田中靖記氏
日本総合研究所 コンサルタント 田中靖記氏
大阪市立大学大学院文学研究科地理学専修修了。専門は、新規事業・マーケティング・海外市場進出戦略策定。鉄道・住宅・エネルギー等、主に社会インフラ関連業界を担当。近年では特に、インド市場開拓案件を手がけている。
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取材・文/白谷輝英 撮影/平山 諭 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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