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掲載日:2012年7月23日

Vol.139 地方自治体編

「住民や観光客に選ばれる地域づくり」を目指し、民間と連携しながら魅力を高める試みが活発化

「ゆるキャラ」と呼ばれるご当地キャラクターづくり、香川県の「うどん県」に代表されるような観光キャンペーンなど、民間とも連携した地域アピールが活発になっている。

都道府県(広域自治体)、市町村・特別区(基礎自治体)の役割は、健康、安全、環境といった地域住民向け行政サービスを提供すること。人口構成、社会・経済状況などによって地域の重点課題は異なるが、全国的に人口減少・少子高齢化が進む中、どの自治体も「限られた財源をやりくりし、多様化する住民ニーズを満たす」という難題に取り組んでいる。各地で、地域の担い手と彼らの雇用を確保するための「地域間競争」が激化しており、自治体には魅力的な地域を作る努力が必須。そこで自治体職員には、優先度の高い課題を解決する事業を企画して住民や事業者、国などと連携しながら実行し、評価を行って次につなげるという高いマネジメント能力が求められている。

いわゆる「平成の大合併」(1999年から2010年にかけて進められた市町村の合併)により、1999年当時3232あった市町村数は、2012年4月時点で1719にまで減った。さらに、自治体が財政再建に乗り出したことなどもあって、地方公務員の総数も減少。2011年4月時点の地方公務員数は約279万人で、1994年に比べて約15パーセント減となった。なお、人口の多い都市は「政令指定都市」(20市)、「中核市」(41市)、「特例市」(40市)という指定を受け、国や都道府県の業務を部分的に担っている。

このところ、自治体の「新たなカタチ」を巡る動きが活発だ。特に目立つのが、消防・救急や介護・福祉などの業務を複数の市町村で共同処理するケース。広域連携によって効率アップを図り、行政サービスの質を維持、あるいは向上させるのが狙いだ。また、各地域の魅力を互いに活用し、圏域全体で住民の定住を進める施策「定住自立圏構想」も取り組みが進む。これは、都市機能を持つ「中心市」と、独自の自然や文化を持つ「周辺市町村」が役割分担・連携することで、住民が必要とする生活機能を確保する枠組み。2012年時点で65の圏域が設定されている。ほかにも、大阪府と大阪市・堺市を解体して特別自治区からなる大阪都を新設する「大阪都構想」や、それに連動して提唱された「中京都構想」など、大都市の在り方を見直す議論も巻き起こっている。

従来の自治体は横並び意識が強いと言われたが、近年は、それぞれの道を模索する傾向が見られる。とりわけ、民間と協力して地域の魅力を高める流れが強い。例えば、横浜市は東京急行電鉄と「次世代郊外まちづくり」の推進に関する協定を締結。東急田園都市線沿いの郊外で、老朽化しつつある住宅地の再生に取り組み始めた。北九州市は、環境問題や超高齢化社会などへの先進的な対応、官民連携による海外向け「水ビジネス」への参入などが評価され、「環境未来都市」の一つに選ばれている。さらに、過疎地区の活性化事業や、地域を挙げての介護予防事業といった方策も、各地で行われている。

東日本大震災を機に、地域の結びつきを再強化しようとする自治体もある。例えば、市のホームページをフェイスブックに完全移行し、自治体職員と住民とのコミュニケーション増、情報発信力強化などを目指している佐賀県武雄市が代表格だ。町内会などの地縁(ちえん)が弱まるのに対応し、SNSなどを使って地域のネットワークを構築しなおす試みは、今後増える可能性があるだろう。

【押さえておきたい情報をピックアップ!】

地域の魅力をアピールする取り組みの例

ご当地キャラの商標使用料を無料に 熊本県のご当地キャラクターである「くまモン」は、県の許可があれば、キャラクターの商標使用料が無料だ。そのため、食品や土産物、ぬいぐるみなどに広くキャラクターが起用されるようになり、熊本の広報活動に貢献している。
香川県の「うどん県」キャンペーン 香川県観光協会が展開している観光キャンペーン「うどん県。それだけじゃない香川県」が話題に。フェリー会社が「神戸−うどん県フェリー」を就航させるなど、民間での活用も広がっている。
ネット通販と連携し名産品をPR 地方自治体や各地の商工会議所が、アマゾンや楽天などのインターネット通販と連携を強化。通販サイトで特集コーナーを設置して県産品のアピールを図るほか、人材交流なども実施している。
「ご当地プレーン」で地域をアピール 愛媛県宇和島市、島根県益田市、鹿児島県薩摩川内市の名前をラッピングした飛行機「ご当地プレーン」が、全日本空輸によって就航。2012年6月から1年にわたり、全国各地で地域名をアピールする。

【このニュースだけは要チェック!】

SNSやITの活用に注目しよう

・佐賀県武雄市が、市の公式ホームページをフェイスブック上に完全移行。コメント機能などを活用することで市民とのつながりが強まったと評価される一方、高齢者などITを利用しづらい人々への対応が課題となっている。(2011年8月1日)

・東京が、2020年夏季オリンピック・パラリンピック大会の立候補都市に選定。ライバルはイスタンブールとマドリードで、最終決定は13年9月の予定。東京都としては、前回(2016年大会)に続いての立候補で、実現すれば大きな経済効果が見込まれている。(2012年5月24日)

この業界の指南役
日本総合研究所 コンサルタント 山崎香織氏
日本総合研究所 コンサルタント 山崎香織氏
京都大学大学院農学研究科地域環境科学修士課程修了。専門は、介護・地域福祉、地域経営・人材開発、企業の社会的責任(CSR)。地域社会のデザイン構築をテーマに、官公庁・自治体の施策立案・実行における支援等を手がける。
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取材・文/白谷輝英 撮影/平山 諭 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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