トルコのイスタンブールにある日系企業の現地法人に勤務。ヨーロッパとアジアとにまたがる地の利を生かして、休日や長期休暇を利用した家族旅行に出るのが現地での楽しみ。
マニアックな言い回しで話しかけるのが楽しい
こんにちは。クルムズベヤズです。今回は、私とトルコ語のかかわりについてお話しします。
トルコ語は、赴任が決定してから赴任するまでの半年間、週に1~2回の頻度でレッスンを受けて勉強を始めました。そのため、赴任前の時点では、すでに簡単な日常会話ができるレベルにはなっていましたね。残念ながら、赴任後は特別な勉強はしていません。会社では、英語が話せれば、それで仕事が十分できるからです。
ただし、現場の作業員と接するときは、やはりトルコ語が必要になるため、日本で覚えた語彙や文法、ボディーランゲージを駆使しながら、何とかコミュニケーションを取っています。そのせいか、赴任してからの方が、間の取り方や、何かを言われたときの切り返しが上達したような気が。いろいろな言い回しも覚えました。
トルコ語を使って話しかけると、トルコの人々は、ものすごく喜びます。トルコ語が非常にマイナーな言語であることを、彼らも十分自覚しているからのようです。しかも、「メルハバ!(こんにちは)」のようなありふれた単語よりも、まず外国人の口からは聞けないであろうマニアックなセリフを覚えて話しかけると、目を丸くして驚き、とてもうれしそうに話しかけてくれますよ。職場以外でトルコ語を使うのは、主にレストランや、ショッピングモールで買い物をするときなどですが、ウェイターや店員などからも、非常に好意的な反応が返ってきます。
自国の文化や歴史をしっかり学ぼう
海外で仕事をすることで、私自身が成長できたなと思うのは、外から日本、そして当社を見ることができるようになったということでしょうか。海外に出たことで、今まで疑問に思わなかったこと、例えば日本式の仕事の進め方などに関して、立ち止まって考えることができたのは収穫でした。特に、トルコという国に駐在したことで、ラマザン(断食)や、家畜をアッラーに捧げるクルバン(犠牲)といったイスラム教の慣習を通して、イスラム文化を理解する機会を得たことも、自分に大きな影響を与えてくれたと思います。
将来、海外で仕事をしたいと考えている皆さんに対して、学生のうちにやっておくといいこととしてお勧めできるのは、自国の文化や歴史をしっかり学ぶこと。トルコに限らず、海外の人は、自分の国の歴史や文化に誇りを持っており、外国人に対しても積極的に聞いてきます。そんなとき、自分の国について満足に語れないと、「なんだ、こいつは?」と思われ、つらい思いをするでしょう。海外で仕事をする上で、アイデンティティを確立するためにも、自国の文化、歴史を知っておくと、自分を見失わずに済みます。
海外で仕事をすると、日本での仕事の進め方と勝手が違うのは当然のこととして、生活環境もガラリと変わるものです。恐らく大変な思いをすることでしょう。しかし、その分、仕事でもプライベートでも、日本では味わえないような体験をすることができるし、視野も一気に広がります。今後、日本は、さらにグローバル化が進み、日本人も海外で働くことが当たり前になる時代へ突入していくことでしょう。そんな中で、世界に負けないリーダーシップを発揮する人材を増やすために、若い人たちにも、海外でどんどん仕事をしてほしいと思います。まずは場数を踏むことです。皆さんの挑戦を応援しています。
トルコ語を学んだときの教材の数々。トルコについて書かれた書籍も一通り読んだ。
「ミニアトゥルク」は、トルコ国内外にある建築物などのミニチュア・テーマパーク。これは、「アスペンドスの円形劇場」。上から劇場を見下ろすことができるのは、ミニチュアならでは。
イスタンブールのバクダッド通り。現地では「バーダッド」と発音される、とても賑やかな通りだ。
トルコの伝統的な公衆浴場「ハマム」は、古代遺跡にもその跡が見られる。
イスタンブールの海岸沿いの道。シーフードレストランなども多い。
構成/日笠由紀