就活がうまくいかないとき、「選考に落ちることがつらい」「真面目に頑張っているのにどうして?」などと悩むことがあります。しかし、自分に合う企業はどこかにあるものですし、就活への取り組み方を改善すれば自分の良さを伝えやすくなります。
今回は、多くの学生の就活を支援するキャリアコンサルタント、株式会社キャリアルの大森冨士代さんが、就活がうまくいかない人の特徴や対処法を解説します。モチベーションが下がるなどしてつらい時期の乗り越え方も紹介するので、参考にしてください。
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就活がうまくいかない人によくある特徴と対処法
まずは、アドバイザーの大森さんの経験を基に、就活がうまくいかない人によくある特徴を紹介します。それぞれの対処法も併せて紹介するので、自分に当てはまることがないか考えてみましょう。
自己分析がしっかりできていない
自己分析をしっかりと行っていない場合エントリーシート(ES)や面接で自分の考えや強みをうまくアピールできていない可能性があります。
また、自己分析が足りないことで、ミスマッチな企業に応募してしまい、選考通過に苦戦するケースも少なくはありません。
対処法
あらためて自己分析を行うことが大事です。幼少期から現在まで過去を振り返り、自分の考えを整理しましょう。
印象的な事柄を挙げるだけでなく、そのときに感じた自分の気持ちや影響を受けたことなども掘り下げ、自分自身の内面に向き合うことがポイントです。
自己分析をうまく進められない場合は、マインドマップなどの手法を使うのも有効です。
関連記事:マインドマップで自己分析をする方法|書き方例、企業探し・ES準備への活用法も紹介
就活の軸が定まっていない
就活の軸が定まっていないために、自分にマッチする企業に応募できていないケースもあります。
イメージだけで応募していたり、「どの企業でも変わらない」と思って企業選びをしていたりする場合は、応募企業や応募職種に対する理解度・志望度が低いことが伝わり、選考にも通過しにくくなるでしょう。
対処法
まずは「どのような仕事がしたいのか」「将来どういったキャリアを目指したいのか」「どのようなライフスタイルを実現したいのか」を明確にしましょう。
その上で、自分の希望を実現できる企業・環境・仕事内容について考えることで、就活の軸を定めることができます。それらを基に自分にマッチした企業選びを行うことが大事です。
業界・企業研究が足りていない
業界研究や企業研究が足りず、志望動機などで「その企業ならではの魅力」「その企業だからこそ入社したい理由」について伝えることができていない場合は、志望度が低いと判断されてしまいやすいでしょう。
また、事業内容や仕事内容に対する理解が浅い場合にも、「イメージだけで応募しているため、入社意欲が低い」「志望動機に説得力がない」「入社後に早期離職してしまう可能性がある」と判断される可能性があります。
対処法
就職情報サイトや企業の採用ページに掲載されているさまざまな情報を読み込み、自分の就活の軸と照らし合わせながら「なぜその企業でなくてはならないのか」を考えてみましょう。
また、志望業界の複数社を比較してみることもおすすめです。志望度の高い企業に対して感じた魅力や、その根拠を明確にしやすくなります。
会社説明会への参加やOB・OG訪問などを行うと、外部には出ていない情報を入手することができ、より仕事のやりがいや働き方などをイメージしやすくなるでしょう。
先輩社員に気になる点を直接質問できれば、より志望意欲を高めたり、説得力のある志望動機を作成したりすることにも役立つはずです。
OB・OG訪問や就活イベントへの参加などの活動量が少ない
新しい視点や気づきを得られる活動を積極的にしていないことで、自分の選択肢を狭めているケースもあります。
例えば、OB・OG訪問をしていない場合、企業で働く先輩社員から具体的な話を聞くことができません。生の情報を得ることのメリット「志望動機が固まりやすくなる」や「仕事に対する考えが整理しやすくなる」を生かせず、自分に合った企業を見つけにくくなります。
また、合同企業説明会などの就活イベントに参加していないと、幅広い仕事や業界に出会うチャンスが減ります。結果として、知らなかった企業に興味を持つこともなく、自分の選択肢を狭めてしまうことがあります。
対処法
気になる業界や企業がある場合は、OB・OG訪問を行ってみましょう。キャリアセンターやゼミ・研究室の教員、ゼミ・部活動・サークルの先輩などを通じて紹介してもらうこともできます。
特にない場合は、就活イベントに参加して、さまざまな企業や仕事について積極的に知ってみることが大事です。また、興味を持った企業の先輩社員などにその場で声をかけてみれば、OB・OG訪問につなげることもできるかもしれません。
「そこまでやる気が起きない」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、就活は、世の中のさまざまな企業や仕事について踏み込んで知ることができる貴重な機会だと考えましょう。
仕事で活躍している社会人の話を直接聞くことで、就活へのモチベーションも高めやすくなるはずです。
エントリーする企業を絞り込みすぎている
エントリーする企業を絞り込みすぎていることで、自分に合う企業に目が向かず、内定を得る機会を失っている可能性もあります。
さまざまな企業と接点を持つことは、仕事に対する自分の考えを深めたり、より成長できたりする機会にもなります。
「1社ずつ進めたい」「第1志望群の企業以外は興味がない」など、自分の考えにこだわりすぎてしまう場合は、そうした機会も失うことになり、自分自身の可能性を狭めてしまうケースが少なくありません。
対処法
第1志望群の企業以外にも、幅を広げてさまざまな企業に応募してみましょう。興味のある業界だけでなく、関連しそうな業界などにも目を向けてみることで自分にマッチする仕事や企業が見つかる可能性があります。
幅を広げて応募した結果、自分のやりたいことができる仕事や活躍できるフィールドに出会えるかもしれません。
また、面接などの選考過程の中で、自分自身を成長させることもできます。多くの企業の選考を受けることで自分の考えを整理したり、やりたいことが固まっていったりしたことで、内定を得られるようになる人も少なくはないのです。
エントリーシートなどの応募書類で自分をアピールできていない
エントリーシートなどの応募書類でうまく自分をアピールできていないために、書類選考になかなか通過できないケースもあります。
また、書類の内容に不備がある場合なども、「志望度が低い」「社会に出るための準備ができていない」などと判断される可能性があり、選考に通過しにくいこともあるでしょう。
対処法
自己分析や企業研究の成果を基に、自分と応募企業の接点を探すことが大事です。その上で、論理的かつ端的に自分の強みや思いをしっかりと伝えるように意識しましょう。
冒頭には結論を書き、その理由や背景、根拠となる具体的なエピソードを伝えるとわかりやすくなります。また、エピソードでは、そのシーンを思い浮かべてもらえるよう、具体的な背景までイメージしてもらえるような伝え方を意識しましょう。
例えば、「飲食店でのアルバイト経験」を書く場合、どのような店舗でどういったお客さまに対応し、どの程度の忙しさだったのかまで具体的に伝えることがポイントです。
期間や人数、規模感などを数字で表現したり、相手がイメージしやすい固有名詞を使ったりすることも有効です。
また、エントリーシートの書き方などの記事を参考にしたり、学校のキャリアセンターや先輩などに見てもらったりすることで改善点を見つけやすくなるでしょう。
筆記試験の準備をきちんとしていない
筆記試験(Webテストも含む)は、学生の能力や性格などに職業適性があるかどうかを判断する材料とされています。書類選考と同じくらいのタイミングで行うケースが多いため、それまでに準備ができていないことで面接選考に進めないケースもあります。
筆記試験の内容としては、国語や算数などの基本的な能力を問うものから、性格検査、小論文、英語やそのほかの外国語の能力を問うもの、時事問題について問うものなどが挙げられます。
対処法
筆記試験問題の本などを活用し、自分で解いてみることが大事です。一度で終わらせず、複数回解いておくと、試験当日にも力を発揮しやすくなるはずです。
どのような問題集を選べばいいのかわからない場合は、すでに就活を経験してきた学校の先輩やキャリアセンターなどに相談してみると良いでしょう。良い応募企業の過去の傾向を調べ、実施されてきた試験の内容に沿って勉強する方法もあります。
また、時事問題の試験対策として、日ごろからニュース記事や経済新聞を読むようにしておくこともポイントです。少なくとも、自分の志望業界に関連する情報は積極的に得ておくことをおすすめします。
面接でうまくコミュニケーションができていない
面接で自分の考えをうまく伝えられなかったり、緊張して話せなかったりすることで、自分の良い点や思いをアピールできていないケースは少なくないものです。
また、エントリーシートに記載した内容と違う回答をしたことで、「一貫性がない」と判断されてしまうこともあります。
対処法
面接でよく聞かれる想定質問に対して、伝えたい要素やアピールしたいことを整理しておきましょう。エントリーシートの内容を丸暗記するのではなく、口頭で伝えたいことを紙などに書き出してまとめることが大事です。
自然に話せるようにするためには、口に出して練習しておくといいでしょう。また、面接は会話のキャッチボールなので、相手と対話している意識を持つことも重要です。
学校のキャリアセンターで模擬面接を行ってもらい、面接のムードに慣れておくのも練習方法の一つです。客観的なアドバイスを受けることで改善も図れます。
年齢の離れた面接担当者と話すことに緊張してしまうケースもあります。日ごろから学校の先生や講師、アルバイト先の店長など、目上の人と積極的に会話して慣れておくと、より安心できます。
面接の前には、応募企業のエントリーシートにどんな内容を書いたのかきちんと振り返っておき、一貫性ある回答を心がけるようにしましょう。
選考を受けた後に、振り返りと改善をしていない
書類選考や面接選考を受けた後に、振り返りと改善を行っていないために、同じことを繰り返してしまうケースもあります。
「書類選考で落ち続けてしまう」「一次面接選考になかなか通らない」などの場合は、改善をしていないことで次のステージに行けていない可能性があるでしょう。
対処法
選考に通過した場合でも落ちた場合でも、何が要因だったのかをきちんと振り返りましょう。その上で、どのような点が良かったのか、どう改善するとより良い結果につながるのかを考え、実践していくことが大事です。
中には「選考でうまくいかなかったことがつらいから、思い出したくない」と感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、つらい結果でもきちんと受け止めて改善していく方が、より良い結果につながるでしょう。
書類選考に通過できず、うまくいかない場合の注意点
相手にとって読みやすい内容を意識し、誤字脱字の確認・修正もきちんと行いましょう。同時に、指定された文字数をオーバーせず、ルールを守ることも大事です。
一方、指定された文字量より大幅に少ない内容の場合も注意が必要です。企業に「内容が薄く、自己分析などの準備が足りていない」と判断されかねないため、その点を見直しましょう。
エントリーシートを作成する際、「取りあえず締め切りまでに提出できればいい。面接の準備は、書類選考に通過してからやればいい」と考えてしまう人もいます。
しかし、面接はエントリーシートの内容をベースに進めていくものです。エントリーシートに、企業に質問してほしいことや、よりアピールしたいことを盛り込んでおけば、面接当日にも聞いてもらいやすくなるでしょう。
面接選考に通過できず、うまくいかない場合の注意点
面接では、第一印象も大事なので、身だしなみを再度確認し、清潔感ある印象に整えるように意識しましょう。ビジネスシーンにおける振る舞いで違和感を与えている可能性もあるので、入退室やあいさつなどの振る舞い方を再度確認することも大事です。
また、自分の話し方や声のトーン、抑揚、身ぶり手ぶりなども確認しておき、ハキハキと話すことや、より思いが伝わるような表現を意識しましょう。
特に、「オンライン面接に通過できない」という場合は、画面越しの自分の姿を確認することで、改善点が見つかりやすくなります。
改善点を探す場合は、前述した通り、学校のキャリアセンターや友人などに模擬面接を行ってもらい、客観的なアドバイスをもらうことも有効です。
また、OB・OG訪問を積極的に行うことで、自分の考えを簡潔に伝える練習になる上、社会人との会話に慣れることもできるでしょう。
就活のつらい時期を乗り切るための考え方
ここでは、「就活がつらい」「しんどい」と感じている学生の皆さんに向けて、乗り切るための考え方を紹介します。
うまくいかない時期は休んでリフレッシュすることも大事
「書類選考に通過できない」「面接に落ちた」「なかなか内定をもらえず、不採用通知が続いている」など、うまくいかないと感じている時期は、一時的に就活を休み、リフレッシュすることも大事です。
睡眠をしっかり取って休息し、生活リズムを整えれば、就活へのモチベーションも高めやすくなるでしょう。
また、友人と会う、趣味の活動をするなど、就活から距離を置く1日を過ごしてみるのもおすすめです。
例えば、スポーツやドライブ、グルメ、音楽鑑賞、映画・アニメ観賞など、心のよりどころになる趣味を見つけておけば、落ち込んだ気持ちを切り替えるスイッチになってくれるでしょう。
いずれにしても、自分自身の体調や気持ちを整えてから再度就活に向かうことで、突破口が見つかりやすくなるはずです。
周囲と比較せず、自分のペースで活動することを心がける
「周囲の友人と比べて、自分は就活準備で遅れを取っている」など、周囲と比較することで焦ってしまうケースは少なくありません。
しかし、周囲と比較するよりも、自分がやるべきことに集中した方が結果につながるものです。
就活の目的は、早く内定を得ることやたくさんの内定を得ることではないので、そこにこだわる必要はありません。
「最終的に、自分が納得できる会社1社1社から内定を得ればいい」と考え、自分のペースで着実に活動を進める意識を持つことが大事です。
「しんどい時期」は必ず終わると考える
「就活がうまくいかずにつらい」「このしんどい時期はいつまで続くの?」と苦しい気持ちを抱えてしまう人もいるでしょう。しかし、就活の期間は限られているので、しんどい時期がどんなに長引いても、必ず終わりは来ると理解しておきましょう。
その上で、現時点から就活が終わるまでの期間を意識すれば、「ここから1年、しっかり進めよう」「この数カ月間だけは本気で頑張ろう」など、モチベーションを保ちやすくなるはずです。
また、多忙な時期につらさを感じた場合には、「エントリーまでの期間は頑張ろう」など、小さく期間を区切ることでモチベーションを保ちやすくなるでしょう。
就活で人生のすべてが決まるわけではないと考える
「就活がうまくいかなかったら…」「志望度の高い会社に入社できなかったら…」と不安に思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、志望度の高い会社に入社できなかったり、希望していた職種に就けなかったりした場合でも、自分に合う環境で成長・活躍する人もいれば、自分の想定していなかった仕事に適性があり、大きなやりがいを発見する人もいます。
また、社会人として働いてみた結果、就活時に思い描いていたキャリアとは違う道を目指すケースや、新たな自分の可能性にチャレンジするケースも少なくないものです。
これらの例を踏まえると、「就活は一つの通過点でしかない」と言えるでしょう。就活で人生のすべてが決まるわけではないと考え、思い詰めすぎないことも大事です。
第三者に悩みを話し、相談することで、気持ちを切り替える
就活がうまくいっていないときは、一人で悩みを抱え込むより、誰かに話した方が気持ちも楽になるものです。しかし、相談したいと思っても、「先に内定を得ている友人に会うことがつらい」「家族には今の自分の状況を話したくない」と感じてしまう人もいるでしょう。
そんなときは、アルバイト先の仲間やサークル・部活の先輩など、就活とは距離がある第三者に悩みを話してみることをおすすめします。また、同じ境遇の仲間と悩みを共有したい場合は、就活を通じて知り合った他大学の学生同士でネットワークをつくっておくのも良いでしょう。
そのほかにも、就職エージェントに相談してみる方法があります。就活支援のプロであるキャリアアドバイザーに悩みを話すことで、改善点や見直したいポイントについて客観的なアドバイスをもらうこともできるでしょう。
日ごろの生活でかかわりのない第三者の方が「本音で話しやすい」と感じるかもしれませんし、就職エージェントへの相談は無料なので活用しやすいと言えます。
リクナビ就職エージェントでは、就職相談や面談アドバイス、履歴書添削などもマンツーマンで行っているので、突破口を見つけるために役立てることができるでしょう。
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